日経不動産マーケット情報トップ編集部発「ここだけの話」 > 記事(前のページ)

REITの導管性要件の緩和を急ぐべきだ

2007/10/26

 FCレジデンシャル投資法人で分配金減少の恐れが高まっている。同投資法人が10月19日に発表した資料によると、10月5日時点で投資主の上位3者の保有割合は56%だ。このままでは、2007年10月期の決算で税法上の導管性要件を満たすことができず、税負担が大幅に増えることになる。あるアナリストは、「REITが導管性要件を満足せずに課税されるというのは、世界でもまれな事態だ」と話す。

 FCレジデンシャル投資法人では、2007年4月にも同じ問題が発生した。このときには、スポンサー企業であるファンドクリエーションが投資主の米プロスペクト・アセット・マネジメントなどから投資口の一部を買い取ることで、なんとか導管性要件を満たした。しかし、プロスペクトが運用会社のスポンサーの変更などを要求しているとの報道もあり、今回は投資口の譲渡に応じそうにない。税務当局の判断によっては危機を回避できる可能性も残されているものの、予断を許さない状況にある。

 金融商品取引法の施行によって投資家保護の動きが進むなか、REITの投資口を購入している投資家の保護ももっと手厚くすべきだ。特に、投資法人に法人税を実質課税しない「導管性」はREITのしくみの根幹を成すものであり、投資家が安心して投資できるように50%ルールの見直しが必要になっている。

 合わせて、宥恕(ゆうじょ)規定の導入も進めるべきだろう。導管性要件の一つとして、投資法人には利益の90%超を配当することが求められている。ただ、会計上と税務上の利益の解釈に違いがあるため、後日の税務調査によっては配当した利益が90%を超えていないとみなされる可能性がある。導管性を満たしていないとして課税され、投資家への分配金が減少してしまう。こうした事態を避けるためにも、あとから追加して配当できる宥恕規定の導入が求められる。投資家に対するセーフティネットの目を細かくするという意味で、これらの制度改正を急がなければならない。

 導管性を揺るがす危機が生じやすいのは、資産規模が小さいREITだ。REIT市場では銘柄の規模に大きな格差がある。ちなみに、2007年9月時点でREIT41銘柄の資産総額5兆5000億円のうち、上位10銘柄だけで60%を占めている。導管性を満たすことができずに分配金が減る事態が生じれば、資産規模の拡大を目指したREITのM&Aも現実味を帯びてくる。

徳永 太郎日経不動産マーケット情報

ページの先頭へ

日経不動産マーケット情報トップ編集部発「ここだけの話」 > 記事(前のページ)