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今後、建て替えビルのテナント移転先の確保が問題になる

2007/06/29

 千代田区内幸町の飯野ビルは、来春にも建て替え工事に着手する予定だ。入居テナントの移転先も続々と決まっており、帝人が霞が関R7プロジェクトに、中国塗料が東京倶楽部ビルディングに移転することが明らかになっている。所有者である飯野海運も、港区芝公園の昭和電工別館跡地で建設中のビルに本社を移す。

 このところ、都心部でオフィスビルの建て替えが活発になっている。森ビルの調査によると、都心3区で2007年~2011年に完成する大規模オフィスビルのうち、面積ベースで45%が建て替えによるものだ。今後も旧耐震基準のビルを中心に、建て替えが増加するのは間違いない。そこで問題になるのが、入居テナントの移転先をどうやって確保するかということだ。おそらく今後数年間で、建て替えに伴うテナント移転の受け皿ビルが数十万m2の規模で必要になるのではないか。実は飯野ビルでも、まだ移転先が決まっていないテナントもあると聞く。

 先日、ホテル運営の聚楽が千代田区外神田にある本社ビルの建て替えに伴ってオフィスを移転した。移転先はJR御茶ノ水駅前の旧・日立本社ビルだ。アスベストを含んだ吹き付け材が使用されていることから、こちらもいずれ建て替えることが決まっている。おそらく自社ビルの建て替え期間の限定で、入居しているのだろう。ビル不足においては、建て替えるビルも移転の貴重な受け皿になっているわけだ。

 ある仲介会社によると、大手不動産会社が都心部で建設しているオフィスビルで、テナントを募集していないものがあるらしい。この不動産会社は別の場所で再開発事業を手がけており、「取り壊しが決まったビルの移転先にするのではないか」というのが、もっぱらのうわさだ。東京都心部の空室率は3%を下回る。企業の拡張ニーズと、建て替えによる移転ニーズが重なって、都心のビル不足が一層、深刻になりつつある。

徳永 太郎日経不動産マーケット情報

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