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米の道路コンセッション会社が破産法申請、原因はどこに

2016/03/24

SH130を取り巻く巨大計画は中止に

 SH130の整備計画を遡ると、テキサス州が2003年に決定したテキサス回廊計画(Trans-Texas Corridor、TTC)にたどり着く。1990年代に州内の各地で問題となった交通渋滞を解消するために、全長6400kmの一大ネットワークを築くという構想だ。総事業費は16兆円~20兆円。大型トラックの専用レーン付き有料道路や高速鉄道、大容量の通信回線、石油やガスのパイプラインなどを一体的に整備する。

 TTCで提唱された複数の路線のうち、I-35沿いのネットワークを増強するTTC-35と呼ぶ計画のマスタープランの作成業務を2005年に受託したのが、シントラとザカリーのコンソーシアムだった。コンソーシアムは2055年までの段階的な開発計画をまとめるとともに、具体的な整備事業を優先的に受注できる権利を得た。この計画路線の一つがSH130で、接続する既存道路の拡張なども含まれる。

 ところがその後、TTCに対して巨大な事業費や用地買収、環境問題などに対する市民の懸念が相次いだ。州は2009年、TTC-35に基づく開発計画の中止を決定。コンセッション会社がSH130の工事に着手した後だった。TTC-35の計画中止と、SH130の事業破綻との因果関係は明らかになっていない。

 破産法の申請は民間企業による道路運営の失敗事例と見られがちだが、事業再建のための債務返済計画の見直しを目的としている。コンセッション会社はSH130を、引き続き運営していく方針だ。「交通量は着実に伸びている。接続する道路の整備などに伴い、I-35の迂回路としてSH130の認知度はさらに高まると信じている」と、コンセッション会社の最高経営責任者(CEO)は表明している。破産法の申請に伴う通行料の引き上げは予定していない。

 見方を変えれば、リスクを民間企業に移転して官のリスクを回避した事例とも受け止められる。テキサス州はコンセッション会社から運営権対価などとして、これまでに1億4200万ドル(約160億円)を受け取っており、州内のほかの道路整備に充てている。テキサス州運輸局はコンセッション会社の破産法申請を受けて「州や納税者がコンセッション会社の債務を負う責任はなく、州の財政にも影響はない」と発表した。

瀬川 滋、菅 健彦日経不動産マーケット情報

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