発注者も手探りの竣工モデル

 このプロジェクトでも、発注者から竣工BIMモデルの提出が求められている。将来、ファシリティー・マネジメント(FM)での活用も想定してのことだ。

 「50mm以下の配管は竣工BIMモデルには求められていないが、機器などとの取り合いが必要な配管はすべて3Dでモデリングしている。設計監理者の立ち会いで竣工図面をチェックすることで、実物とBIMモデルが合致していることを確認している」(近藤氏)という。

 シンガポールの大規模プロジェクトでは、このように施主が施工会社に対して竣工BIMモデルを求めるのは当たり前になっているが、本格的にBIMモデルを使ってFMを行う段階はこれからだ。今後、実務で使う属性情報の内容がさらに明確になっていくだろう。

内装工事中のオフィス棟エレベーターロビー(写真:家入龍太)
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住居棟内部の仕上げ工事の様子(写真:家入龍太)

 大林組がシンガポールにおいて、様々なプロジェクトで積み重ねてきたBIM活用は、シンガポールの建築建設庁(BCA)にも高く評価されることとなった。そしてBCAが主催する2016年度 BIMアワードの会社部門で、大林組は最優秀のプラチナ賞を受賞することが決まった。

家入龍太(いえいり・りょうた)
家入龍太(いえいり・りょうた) 1985年、京都大学大学院を修了し日本鋼管(現・JFE)入社。1989年、日経BP社に入社。 日経コンストラクション副編集長やケンプラッツ初代編集長などを務め、2010年、フリーランスの建設ITジャーナリストに。 IT活用による建設産業の成長戦略を追求している。 公式ブログ「建設ITワールド」を運営。 著書に「CIMが2時間でわかる本」(日経BP社)、「図解入門 よくわかるBIMの基本と仕組み」(秀和システム)など。