会津中央病院(福島県会津若松市)を再訪した。3月に完成した救命救急センターの取材のためだ。同病院を初めて訪れたのは2009年12月。既存不適格建築物の増築における、いわゆる「2分の1ルール」の取材が目的だった。

会津中央病院の救命救急センター。設計は栴工房設計事務所(写真:日経アーキテクチュア)
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 既存不適格建築物で増築するとき、この2分の1ルールに直面した建築設計者は多いだろう。05年6月に建築基準法が改正される前は、既存不適格の建物に増築する際、既存部に現行の構造耐力規定を遡及適用することが求められていた。05年6月の建基法改正時に、この規制が緩和された。増築部の延べ面積が一定規模以下の場合、既存部と増築部とをエキスパンションジョイント(以下、EXP.J)で区切っていれば、既存部に現行の構造耐力規定を遡及適用しなくてもよくなった。

2005年の改正による増築のフロー。12年の建築基準法改正までは、増築部の延べ面積が既存部の延べ面積の2分の1を超えていれば、既存部に現行の構造耐力規定を適用しなければならなかった。12年の建基法改正によって、一定の条件を満たせば、増築部の延べ面積が既存部の延べ面積の2分の1を超えていても、既存部に現行の構造耐力規定を適用しないルートを設けた(資料:国交省の発表を基に本誌が作成)
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 この「一定規模以下」とは、既存部分の面積の「2分の1以下」、もしくは「20分の1以下、かつ50m2以下」と定められた。

 一方、増築部の面積が既存部の2分の1を超えると原則として、既存部に現行の構造耐力規定を遡及適用しなければならなかった。これが「2分の1ルール」だ。増築に増築を重ねた病院や工場などでは、この規定が非常に高いハードルだった。後述するが12年の建基法改正で、2分の1を超える場合でも増築を認めるルートができた。