現在、設計報酬について取材とアンケート調査を進めている。

アンケート調査の自由記入欄には、「設計外業務が多すぎる」といった設計者の不満の声が書き込まれている(資料:日経アーキテクチュア)
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 そこで明らかになったのは、本来は報酬が発生する作業を、発注者が無償のサービスと捉えている場合が多いことだ。設計者から聞かされた事例を挙げる。

・近隣説明会
 分譲マンションなど周辺環境に大きな影響を与えそうな建物では、発注者が近隣住民向けの説明会を開催することが多い。1回ならサービスとも考えられるが、4回、5回と続くと人件費もばかにならない。
 建築確認取り消しの再審査請求でも出された日には近隣説明会が連続する。とても無報酬というわけにはいかない。しかし、どの段階から報酬を請求してよいか曖昧なので、発注者によってはなかなか報酬を認めてくれなかったり、認めてくれても不十分だったりすることがある。(大手組織事務所幹部)

・既存建物の順法性チェック
 地方自治体が所有・運営する大学施設の増築を受注したとき、併せて敷地内にある既存建物の順法性チェックを依頼されることがある。
 ところがこのチェックの報酬を想定していない。増築に増築を重ねた建物では既存建物の数も多い。図面が残っていない場合などは無償で実施することは難しく、対応に困る。(大手組織事務所幹部)

・パンフレットの図面チェックなど
 分譲マンションの販促用パンフレットに掲載された図面のチェックを依頼されることがある。内覧会での説明を求められることも。それなりの負担がかかるが、請求してよいものか悩むことがある。(建設会社幹部)

・ワークショップ
 官公庁工事では、市民の理解を得るためにワークショップを開催することが常態化している。開催日は休日が多い。ところがワークショップの報酬が予算化されていないことがある。担当者に、発注者としての技量が足りない。(大手組織事務所幹部)