編集を担当している日経コンストラクションの読者投稿欄「ねっとわーく」では、大学などの土木系学科の名称が時々話題になる。今世紀に入る頃から目立つようになったのは、土木という言葉を使わずに「環境」、「社会」、「都市」といった言葉を組み合わせた名称だ。そうしたなか、広島工業大学が土木系学科の名称に「土木」を復活させたと知り、いろいろ思うところがあった。取材でよくお世話になっている十河茂幸氏が教授を務める大学だ。

日経コンストラクションの「ねっとわーく」に寄せられる読者の投稿の一部
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 本誌の「ねっとわーく」には土木界の現況を憂える投稿がよく届く。そのなかで学科名関連は定番ともいえるテーマの一つだ。学科名での“土木隠し”を受験生に対する迎合と受け止めて、大学を欺瞞(ぎまん)的であると批判したり、自省して土木界側の改革の必要性を訴えたりする読者は後を絶たない。

 土木隠しの学科名を、土木の研究テーマやプロジェクトなどが環境、建築、まちづくりなどの要素を巻き込んで学際的な傾向を強めていることの表れとポジティブに評価することもできる。しかし、そうした学科でも各教員の専攻分野を調べると明らかに土木系中心というパターンがよくある。入学してだまされたと思う学生や、世間に顔向けできない立場に置かれていると感じる教員がいてもおかしくない。

 取材者としての思いは複雑だ。一般社会では確かに土木界にネガティブなイメージが付きまとう。入札では「談合」に、工事では「税金の無駄遣い」や「環境破壊」にそれぞれ手を染める業界だと思っている人はまだまだいるだろう。このなかで談合は最近も東日本大震災の復旧工事を巡って露見したばかりで、残念ながら実態を反映している。