過去の実績もNATMを後押し

 さらに、想定外の地質に遭遇した場合、シールド工法は掘削効率が悪くなるリスクも考えられた。

 事故が起こった工区の地質は均質でないうえ、岩盤層の所々に亀裂が入っていることが事前調査で分かっていた。ただし、都市部で多数のボーリング調査を実施して、亀裂の位置を事前に正確に把握することは難しい。

 「NATMであれば、地質の変化に合わせて支保工の配置を密にするなど、様々な対策が立てやすいという利点がある」と三谷教授は説明する。軟弱な層には薬液などを注入して固めるといった補助工法の選択肢も豊富にある。

 過去の実績も、NATMの採用を後押ししたもようだ。

 1980年代後半に地下鉄空港線の博多駅―福岡空港駅間のトンネルを掘削した際、一部にNATMを適用した。「博多駅周辺の地質にNATMが適用できたという実績があったので、今回も採用を決めた」。市交通局建設部の角英孝部長はこう話している。

12日早朝に撮影した現場の様子。約7000m3に及ぶ陥没穴の埋め戻しが進み、下水道など埋設管の復旧作業に移っている。大雨が降らなければ舗装工事を実施して、14日夜にも道路を通行できるようにする見込みだ(写真:大村 拓也)
[画像のクリックで拡大表示]

(関連記事:陥没穴に重機、ライフライン復旧を急ぐ