「東京や大阪の都心ではリスクが高すぎる」

 半面、NATMには欠点もある。何らかの原因で地山がトンネルの空間を支えられなくなると、一気に崩壊してしまう恐れがある。

 今回の事故の詳細な原因は不明だが、こうして崩れたトンネルに大量の土砂や地下水が流れ込み、道路に直径約30mもの大きな陥没穴が生じたとみられる。

大きく陥没した道路。正面奥はJR博多駅。事故当日の8日午後3時40分ごろに撮影。ポンプ車を使って流動化処理土による埋め戻しが始まった(写真:日経コンストラクション)
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 日本の大都市の多くは、河川が運んできた土砂が厚く堆積した平野に位置する。「東京や大阪の都心では、NATMはリスクが高すぎて適用しにくい工法だ」。トンネル工学を専門とする早稲田大学の小泉淳教授はこう話す。

 もしNATMではなく、「開削工法」や「シールド工法」を採用していれば、これほど大きな陥没事故には至らなかったとの指摘もある。

 開削工法とは、地表面から直接掘り下げてトンネルを築く方法。シールド工法とは、シールド機という筒状の機械で地中を掘り、その直後にセグメントと呼ぶコンクリート製や鋼製のブロックを組み立ててトンネルを築く方法だ。

開削工法の概要(資料:福岡市)
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シールド工法の概要(資料:福岡市)
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 シールド工法は、シールド機やセグメント自体がトンネルを支える。仮にシールド機やセグメント同士に隙間ができたとしても、トンネルが一気に崩れるリスクは小さいとみられる。