[技術開発]
後付けできる建機の自動停止装置、人との協調作業を安全に

 舗装工事では転圧するためのマカダムローラーやタイヤローラーが前後に忙しく動き回る一方、敷きならし端部の整形作業や敷設前後の路面高さの検測などで多くの人が現場に出入りする。人が建機の死角に入るなどしてひかれ、重大事故に至るケースが少なくない。

 そこでNIPPOは、ICTを安全性向上にも生かしている。新名神高速道路の舗装工事では、2種類の建機自動停止装置を開発し、現場に導入した。

 1つは、RFIDを使った装置だ。死角と作業速度が比較的大きいタイヤローラーに採用した。

ヘルメットに取り付けたICタグでタイヤローラーを自動停止する。ICタグは施工者だけでなく、現場に出入りする発注者などにも装着してもらっている(写真:日経コンストラクション)
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 タイヤローラー後部の左右両端に磁界発生装置を取り付ける一方、作業員などはヘルメットにICタグを装着する。ICタグがタイヤローラーの後方にできた磁界に入ると、ICタグから電波を送信。タイヤローラーのスターターキーを物理的にオフの位置に回す装置が起動して、エンジンを強制的に止める。安全かつ短距離で停止できる方法として採用した。

 ICタグがタイヤローラーから3.5m内に近づくと反応する。距離は経験や資格、作業内容などに応じて、人ごとに変更することも可能だ。

 もう1つNIPPOが採用したのは、ステレオカメラを使った自動停止装置だ。現場近くに仮設した合材プラントで、骨材の投入作業などを担うホイールローダーに取り付けた。

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合材プラントで活躍するホイールローダーの後部に設置したステレオカメラ。人などの障害物を検知すると、運転席のモニターで警告(中央の写真)するとともに、後付けした電動シリンダーがブレーキペダルの先端を自動で引き込む(下)(写真:日経コンストラクション)
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 車両後部のステレオカメラが障害物を検知すると、電動シリンダーが駆動して運転席のブレーキペダルの先端を引き込む。オペレーターがブレーキを踏むのと同じ動作だ。当初はタイヤローラーと同じくエンジンを強制的に止める方法を検討したものの、停止時の衝撃が大きかったので見直した。ICタグを付けていない第三者のほか、車やダンプなども識別して止められる。

 いずれの装置も建機を大きく改造せず、メーカーや機種を問わず設置できるのが特徴だ。「レンタルやリース車両にも着脱できる」とNIPPOの相田課長は話す。

 警報音で人などの接近を知らせる装置は従来からあったものの、建機を自動で止める装置はほとんどなかった。いざという時の動作保証が難しいうえ、急停止によるオペレーターや建機のダメージを避けたいという建機メーカーの思惑もある。自動停止装置はユーザーの自己責任で取り付けているのが実情だ。最近は、建機のレンタル会社が自動停止装置付きの油圧ショベルを開発するなど、市場拡大の兆しも見えてきた。

アクティオ(東京都中央区)が開発した自動停止装置付き油圧ショベル。ヘルメットのセンサーが建機から3~6mの距離で赤外線発光器の信号を受信すると、建機に停止信号の電波を送り返す。停止信号を受信した建機は、油圧回路の電子制御ユニットにつながるスイッチを自動で切断する仕組み。戸田建設が地下掘削や造成工事などで採用する(写真:日経コンストラクション)
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(日経コンストラクション2017年6月26日号掲載)