微生物と栄養を砂サイズの粒子に

――どのようにしてコンクリートの中に微生物などを入れておくのですか。

 バクテリアを乳酸カルシウムで包んで粒子状にします。これを生分解性プラスチックで覆って混和材をつくります。この混和材をコンクリートに練り混ぜると、生物の反応を利用した自己治癒コンクリートができます。

 栄養素などを覆う生分解性プラスチックは、コンクリートの練り混ぜ時には混和材の形状を保ちます。ところがコンクリートが固まると、その殻はもろくなっていきます。

 コンクリートにひび割れが生じて水が浸入すると、もろくなった生分解性プラスチックの殻を破って水は栄養素やバクテリアに届きます。ここで、休眠していたバクテリアが活性化。ひび割れを埋める炭酸カルシウムを生成するようになるのです。

――自己治癒に必要なバクテリアと栄養分をひと塊の混和材として入れるアイデアは、すぐに実現できたのでしょうか。

 段階的な開発によって、製品化できるレベルにしています。当初は、バクテリアと栄養材を軽量骨材に入れる方式でスタートさせました。しかし、水の供給によってひび割れが埋まる効果は確認できたものの、軽量骨材の量が多くなって、コンクリートとしての強度確保が難しいという壁に突き当たりました。

軽量骨材にバクテリアや栄養分を入れた自己治癒コンクリートでひび割れを修復させた結果。左が修復前の写真だ。幅0.15mmのひび割れが埋まっていることが分かる(写真:デルフト工科大学)
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 続いて、バクテリアを栄養分で包み、エポキシ系の材料でコーティングしたタブレット状の粒子を製造するアイデアを試しました。粒子の大きさは4mmのオーダーです。こちらもひび割れを埋める効果は確認できたのですが、コストが高いという課題が残りました。

 そこで、バクテリアと栄養素で包み込んだ粒子を生分解性プラスチックでコーティングする方法を試しました。このケースの粒子の大きさは1.2~4.2mm程度で、砂と同じようなサイズです。

 粒度を均一にしていないのは、細骨材のように粒度をばらつかせて、均一に材料が行き渡るようにしているためです。