2017年10月12日号
スロープ崩落訴訟が問う「設計者の責任」
一体、誰の責任なのか――。東日本大震災で立体駐車場の車路スロープが崩落し、8人が死傷したコストコ多摩境店事故。構造設計者の無罪判決を受けて実施した異例の再捜査の末、東京地方検察庁は7月に嫌疑不十分で設計の統括責任者ら3人を不起訴とした。こうしたなか、設計者と施工者を巻き込んだ民事訴訟が継続していることが取材で明らかになった。設計変更に伴う複雑な設計体制、設計者と施工者、発注者間での不十分な情報の受け渡しなど、トラブルの原因を探ると建築界が抱える問題点が浮かび上がってくる。刑事・民事の訴訟過程で判明した事実をもとに、事故の深層に迫る。