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顧客対応講座 新築とは違った提案方法とマナーが必要!

リフォームとどう取り組むか? オレたちは悪戦苦闘してきましたが、すでにスマートなノウハウを蓄積している工務店や設計事務所も少なくありません。リフォーム工事には「現場のマナー」「顧客の生活への心遣い」など、新築の場合とは勝手が違う点が多々あります。下は、実際に行われている実例報告集。ケーススタディーとして、ぜひ参考にして下さい。

提案と契約のコツ

●「提案」のポイント

 顧客は、常に、何をどうしたらよいのか分からずに迷っている。1種類だけの提案では「これしかないの?」「別の案を後日また…」という結果になる。

 必ず「A案」「B案」と2つの提案を準備して顧客が決めやすいように選択の幅をもたせるのが成功のカギ。

 新築にしろ、リフォームにしろ、顧客が共通して抱いている欲求は「自宅を新しくすることで、生活を新しくしたい」というもの。

 したがって、「A案」を顧客の意向を中心とした「現実的プラン」にしたら、「B案」では「本当はこうしてほしい」という顧客の本音と夢を適切に把握して、それを十分に織り込んだグレードの高い「ドリーム・プラン」にする。欲求と提案が合致すれば、顧客はグレード・アップされたプランの方を選んでくれることが多い。

 提案の時期は、最初の出会いから遅くとも1週間以内。準備する資料とツールは、

  • (1)平面図
  • (2)カラーパースの提案ボード
  • (3)色彩計画ボード
  • (4)イメージ写真(カタログや雑誌からの切り抜きを利用)
  • (5)概算見積書
  • (6)工期の目安を記した工程表

――が必須条件だ。

●「契約」のポイント

 大事なのは、売る方にしても買う方にしても「住宅は最大の衝動買いの商品だ」という点だ(詳しくは『「リフォームはビッグ・ビジネスになるのだ」その8 戦略は“わらしべ長者”に学べ!<後編>』参照)。

 契約の時期は、提案からあまり間をおかず、1週間以内が理想的。顧客に「自宅を変え、生活を変えたい!」というノリがあるうちに契約にこぎつけるのが何よりも大事だ。顧客と業者、お互いにノリが良いケースほど、完成度の高い良い仕事になるのはいうまでもない。

 話が早い場合には、提案と同時に契約ということもある。提案時に契約書を用意しておくのが得策だ。家族の意見が割れて選択に迷いが出た場合には「相談しておいて下さい」と契約書を置いて帰るケースも。その場合には、翌日にもう一度訪ねると成約率が高いという報告が。

現場のマナーとケア

●基本的マナー

 リフォーム工事は、多くの場合、施主一家が「現場に住みながら」行われる。施主の視線がいつもあるので、新築とは違った次のようなマナーが必要になる。

  • (1)リフォームの現場は生活の場でもある。家の中に上がる時は常に清潔な靴下(できれば真っ白い靴下)をはくこと。

  • (2)施主にトイレを借りる場合は清潔に使うこと。トイレの貸し借りはお互いおっくうなもの。庭先に仮設トイレを設けるケースが増えている。特に工事範囲にトイレが含まれる場合は必須条件になる。

     浴室のリフォームを請け、工事が1日で終わらない場合には仮設のユニットバスを用意した会社もある。

  • (3)施主の中にはゼンソク体質の人やタバコの苦手な人、また室内にタバコの煙が付着するのを嫌う人たちが少なくない。工事中、室内では絶対にタバコを吸わない気配りが必要だ。

  • (4)工事日や訪問時間など約束は厳守する。時間にルーズだと施主の予定が左右されることになりトラブルの元となる。

  • (5)飼い犬や飼い猫の悪口をいわない。邪見に扱わない(飼い主は自分の子ども同様か場合によっては子ども以上に大事にしていることが少なくない)。

  • (6)近隣には丁寧なあいさつと「何かありましたら、こちらまで」と工事中の責任の所在を忘れずに告知する。
●工事途中のケア
  • (1)施主が一番嫌がるのはいつ来ていつ帰ったのか分からない工事の進め方だ。「お早うございます。これから工事を始めます」「今日はこれで失礼します」。仕事の始めと終わりには必ずあいさつする。

  • (2)施主は何もいわなくても工事の進み具合をいつも気にしている。「予定どおりに進んでいます」「1日遅れていますが…」と、3日に1回は工事の進捗状況を説明する気遣いが必要。

  • (3)一方的な報告だけでなく、施主の言い分も聞くこと。クレームの80%は感情的なものだと思ってよい。「何かお気づきの点でも?」という一言が、クレーム率を圧倒的に低くする。

  • (4)万一ミスがあった時は進んで「説明責任」を果たす。例えば「水栓金具の納期が間に合わない」「廃番だった」など、打ち合わせと異なる施工をせざるをえないときはすぐに報告する。「品番は違うけど、同等か1ランク上の品です」「デザイン的にはぴったりです」「差額はサービスにしておきます」など――。

 進んで話せば、ほとんどの施主が気持ちよく受け入れてくれる。逆に、説明がないまま工事が終わり、後で施主に指摘されると事態がこじれて大きなトラブルに発展することにも。

●工事後のケア

 施主の友人や近隣の奥さんたちを招いて簡単なホーム・パーティーを主催する(サンドイッチ+ワインなどで費用は2万〜3万円ですむ)。施主からリフォームした感想をスピーチしてもらい、新しく出会った人たちに名刺や資料を配布する。

 このパーティーが、次なるニーズ開拓の重要な場所となっている

取材協力/CRCスマイルサービス事業本部、建空間(2000年当時)

この作品は取材と調査にもとづくフィクションです(初出:日経ホームビルダー 2000年8月号)

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