―一方、建物の設計者を見渡すと、隈さんほど多彩な使い方をする人はなかなか見当たりません。

 設計者のなかには、まだ近代の純粋主義的というか、原理主義的な発想を持っている人がいます。木材を使う以上、「木造がいい」、「木材はムク材であるべきだ」ということに固執している。でも、もう時代はそうした近代の純粋主義から“適応主義”へと移っています。長く使い続けるなかで、建物を時代にどう適応させていくのか。そう考えるとき、木材はとても適応性の高い優れた材料です。

 例えば、コンクリートという材料は、どうしても「構造性」を持ってしまうけれど、木材は建物の構造材にも、表層の内外装にも使えます。同じ表層でも、透過性のあるルーバーやスクリーンから、目隠し壁まで、多用な使い方を創出できます。しかも、木材は改修でも扱いやすい材料です。そういう多義的な性格を持っているのが、木材の面白いところです。

アオーレ長岡(2012年)
アオーレ長岡(写真:藤塚 光政)
(写真:藤塚 光政)
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アオーレ長岡(写真:藤塚 光政)
(写真:藤塚 光政)
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新潟・長岡市役所の一部機能と多目的ホール、市民活動施設などを一体化させた複合施設。ナカドマと呼ばれる大屋根の広場などの意匠に木材を使っている
南池袋2丁目A地区第一種市街地再開発事業
南池袋2丁目A地区第一種市街地再開発事業(資料:●●●●)
東京・豊島区庁舎やマンションなどの官民施設が入る超高層ビル。庁舎が入る低層部の外装は、太陽光発電パネルや緑化パネル、再生木ルーバーなどで構成。2015年5月完成予定(資料:●●●●)
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富山市西町南地区第一種市街地再開発
富山市西町南地区第一種市街地再開発(資料:●●●●)
富山市ガラス美術館と富山市立図書館、オフィスから成る複合施設。巨大な吹き抜けにスギのルーバーを採用。2015年8月完成予定(資料:●●●●)
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