被災地の仮設住宅を「ZEH」レベルで

 例えば、久原英司氏のインタビュー記事を少しだけ引用してみます。久原氏は、熊本工務店ネットワーク(KKN)会長として、熊本地震の仮設住宅563戸を木造で建設する陣頭指揮を執りました。それも、ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)に近い省エネ性能でです。

 久原氏はこう言います。

 「熊本県が(木造仮設住宅の)基礎をコンクリートとする方針を示したとき、それならば環境性能の高い住宅を建てられる、仮設でも快適に暮らしてほしいと思って提案しました。建物の基本性能はZEHに近いレベルです。私自身の工務店(エバーフィールド)のZEH仕様から、屋根断熱とサッシの性能を少し下げた程度です。基本性能の仕様と、建材の仕入れルートを一本化して、工務店によって施工品質に差が出ないようにしました」

 久原氏は、震災の“復興”に向けても既に動き出しています。被災者の住宅再建支援策として、熊本県が取り組む「くまもと型復興住宅」のモデル住宅を益城町テクノ仮設団地に建設しました。久原氏は次のように言います。

 「地域工務店の多くが、環境性能の確保に苦手意識を持っています。今のままでは2020年まで生き残れないでしょう。実は、一連の仮設住宅は、そうした工務店にZEHを学んでもらう“研修”でもあったんです。実際に建ててみると、誰もが『なんだ、簡単じゃないか』と言う(笑)。1社2社の地域工務店が秀でていても、大手ハウスメーカーには太刀打ちできません。でも、地域のどこにでも、優れた住宅を建てられる工務店が普通にある環境をつくれば、建てる側も身近な工務店を選んでくれるはずです。震災を福に転じられるように、これからも地域工務店の再生を急ぎます」

 地味にすごい、と思いませんか?

 また、特集では、10人には選ばれなかったものの、「この人はどうしても外せない」と、編集部内から再プッシュのあった3人を紹介しました。そのインタビュー全文を当ウェブサイトに掲載しています。まだご覧になっていない方は下記をクリックしてください。

 2016年もあとわずか。2017年は、「日経アーキ、地味にすごくない?」と言われるように頑張ります。引き続き日経アーキテクチュアをご愛顧ください。

出典:2016年12月22日
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