コラム名は「日経アーキテクチュアの見どころ」ですが、今回は特別編として、6月14日に発売したムック「検証 熊本大地震」の見どころを紹介させてください。

「検証 熊本大地震」。定価:本体2600円+税。日経アーキテクチュア、日経ホームビルダー、日経コンストラクション共同編集。A4変型判。180ページ。ISBN:978-4-8222-0066-4。商品番号:254740。発売日:2016年6月14日
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 同書は日経アーキテクチュア、日経ホームビルダー、日経コンストラクションの3誌が4月14日の前震から約2カ月間に報道した熊本地震に関する記事を、テーマごとに整理して再構成したムックです。併せて、阪神・淡路大震災や新潟県中越地震、東日本大震災、台湾南部地震など過去に報じた国内外9つの大地震も振り返っています。

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 出版業でない方は、そもそも「ムック」って何?と思われるかもしれません。「ムック(mook)」とは、「magazine」の頭文字「m」と「book」の「ook」を合わせた造語で、「雑誌と書籍の中間」を意味する流通スタイルです。専門的な説明は省きますが、簡単にいうと、一般的な書籍よりも「早く」書店に流通させることができるメリットがあります。

 つまり今回は「早さ」にこだわりました。同書の前書きを引用します。

 「3誌が今回、共同で熊本地震の本を緊急出版することを決めたのは、『専門家だけでなく、広く一般に被害の背景について知ってもらいたい』と考えたからです。

 現在、各分野の研究者が被災地を調査し、被害の原因を分析しています。ただ、それらの正式な調査報告がまとまるのには通常、数カ月から1年以上の時間がかかります。そうした報告を待つころには、社会の関心は薄れ、せっかくの調査結果が専門家の『内輪』だけでしか共有されない──これまでの地震災害では、そうしたことが繰り返されてきました。

 そこで本書は、精緻な分析結果を待つよりも、できるだけ短期間で生の情報を整理し、被害原因のヒントを広く伝えることを選択しました」

 「編集長が語る日経アーキテクチュアの見どころ」というコラムを私が初めて書いたのは、4月13日付けの「創刊40周年、新編集長からご挨拶 『社会を映す』から『社会を動かす』へ」でした。このなかで「今後も専門メディアとして信頼できる情報を、社会に向けタイムリーに発信していきたいと思います」と宣言した翌日の夜に、熊本地震の前震が発生しました。その1週間後には、「2カ月でムックを出す」という方針を決め、それに向かって総動員体制で動き出しました。

 ちなみに、日経アーキテクチュアが東日本大震災の報道記録である「覆る建築の常識 」を出版したのは震災から約3カ月後の2011年6月20日でした。当時の個人的な感想ですが、あれだけの大震災であっても、地震から3カ月たつと一般の人の関心はかなり落ち着くものだな、という印象を持ちました。

2011年6月に発売した「覆る建築の常識」

 「2カ月では早いとはいえない」というお叱りの声もあるかもしれません。反対に、「専門誌ならば、もっときっちりとした検証を待ってから書物にまとめるべきだ」という意見もあるでしょう。正直、我々もまだどうするのがベストなのか、確信を持ててはいません。実際に本書を手にとっていただき、率直なご意見をお聞かせください。今後の震災報道や事故報道の参考にさせていただきたいと思います。