教訓を「木造被害だけ」に終わらせない

 特集のリード(前書き)を引用します。

 「熊本地方に甚大な被害をもたらした熊本地震の発生から1年。

 木造住宅に目が向きがちだった建物被害は、様々な分析で隠れていた部分が可視化され始めた。

 同じ被害を繰り返さないために、建築界は耐震性能の『見える化』を急ぐ必要がある。

 すでに動き出した国、自治体、民間企業の取り組みから、想定外の地震に備える建築の在り方を探る」

 取材チームの思いは、2行目に現れているように思います。「木造住宅に目が向きがちだった建物被害は、様々な分析で隠れていた部分が可視化され始めた」──。

 これまでに報道してきた木造住宅被害の「まとめ」ではなく、1年後の「今だから書ける事実」を掘り起こそう。そして、それらの「見える化」を後押しすることで、熊本地震の教訓を「木造被害だけ」に終わらせないようにしよう──そんなスタンスです。

 特集の構成はこのようになりました。

◆熊本地震からの宿題
建物の「地下」に死角あり
基礎・地盤/基礎杭の耐震性能を把握せよ

活断層/地盤のずれに対応した安全対策を
長周期地震動/免震建物の「想定外」を潰せ

◆動き出した官の取り組み
「地域係数1.2」を義務化

◆民から始まる地震への備え
「最悪」見せて需要を生む

 日経アーキテクチュアでは、阪神淡路大震災や東日本大震災から1年後にも、特集を組んでいます。読み返してみると、その内容は、被害の整理と復興状況の報告が中心でした。そういう意味では、新たな手法の1年後企画です。その成否は、実際に記事を読んでご判断ください。裏切られることはないと思います。

出典:2017年4月13日
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