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【環境】飯野ビル、満室で1100MJ/m2の省エネ性能

2014/05/07

 計画段階で環境性能の高さを誇るビルはいくつもあるが、運用後の成績が対比できるビルは多くない。そんななか、開業から2年半が経過した飯野海運の飯野ビルディングが、省エネ性能の高さを実証してみせた。

 建築物にも車の燃費(燃料消費率)に相当する指標がある。1m2あたりの年間1次エネルギー消費量だ。計画段階で飯野ビルが提示した“実際の稼働条件を想定したエネルギー消費量”は1100MJ/m2。これに対して稼働後の2012年8月~2013年7月の実績値は1100MJ/m2となった。このビルに入居した飯野海運のフロアでは945MJ/m2と、さらに低い値を記録している。

 1社の指揮命令で全体をコントロールできる自社ビルに比べて、複数のテナントが入る賃貸ビルは、良い結果を出すのが難しい。ビルの使い方によって結果が大きく違ってくることも、よく知られている。稼働率が高い、残業時間が長い、ワーカー密度が高い、サーバーが多いといった事情が、エネルギー消費量を多くする。

 先に示した実績値は満室稼働後のものだ。飯野ビルのオフィスは計21フロアあり、双日10フロア、日本郵政グループのかんぽ生命保険とゆうちょ銀行で7フロア、川崎汽船3フロア、飯野海運1フロアといったテナント構成になっている。高い省エネ性能は、ビルそのものの性能と運用の巧みさが両立して初めて達成できる。竹中工務店が設計・施工した飯野ビルは「呼吸する外皮」と呼ばれるダブルスキン(二重構造のガラスの外装)が特徴だ。

 大規模事業所を対象とした東京都の2011年度の集計では、事務所の平均が1853MJ/m2。日経不動産マーケット情報が東京都内の大規模オフィスビルを対象に、実質的にエネルギー消費量の少ないビルを調べたときには、三井住友海上新川ビルとトヨタ自動車東京本社が1110MJ/m2で1位になった。しかし、いずれも自社ビルだ。賃貸ビルの飯野ビルのエネルギー消費量は、これをも下回る。

 建て替え前の旧飯野ビルと比べると、その差は歴然。エネルギー消費量はほぼ半減した。

 飯野ビルはこの間、環境系の認証や賞を相次いで獲得した。2014年2月にはCASBEE(キャスビー:建築環境総合性能評価システム)で最高位のSランクを得た。これ自体は珍しいことではないが、格付けの判断基準として用いるBEE値(ビー値:建築物の環境性能効率値)は8.0と、賃貸ビルで最高値だった。

[飯野ビルの賞や認証]
▼空気調和・衛生工学会技術賞:2014年
▼サステナブル建築賞 事務所建築部門 建築環境・省エネルギー機構理事長賞:2014年
▼LEED-CI プラチナ(飯野海運のフロア):2011年
▼CASBEE Sランク(BEE値8.0):2014年
▼CASBEE不動産評価認証 Sランク(評価点95.7):2013年
▼DBJグリーンビルディング認証 プラチナ:2011年

[ビルの概要]
名称:飯野ビルディング
所在地:千代田区内幸町2-1-1(住居表示)
最寄り駅:地下鉄霞ケ関駅直結
面積:土地8027m2、延べ床約10万4000m2
構造:S・SRC造
階数(地上/地下):27/5
竣工:2011年(2期計画の竣工は2014年10月予定)
事業主:飯野海運
設計者:竹中工務店(設計・設計監理)、日建設計(設計監修・工事監理)
施工者:竹中工務店
総工費:約430億円(旧ビルの解体工事費込みの1期計画の金額、2期計画は別に約31億円)

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