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【MIPIM特派報告】キーワードは「分母効果」、資金枯渇は融資からエクイティへ波及

2009/03/13

コンファレンスの様子
コンファレンスの様子

 不動産投資市場のキーワードが2008年は「デレバレッジ」、つまり融資の枯渇による借入比率の引き下げだったとすると、2009年の今を象徴するキーワードと言えそうなのが「デノミーネーター・エフェクト」だ。今年のMIPIMでは、ファンドや金融機関、政策担当者など、さまざまな立場のスピーカーの口からこの言葉が聞かれた。文字通りに訳すと「分母効果」となるが、かみ砕いて説明すると以下のようになる。

 リーマン・ブラザーズ破綻後の金融市場では、サブプライムローン問題の発端となった証券化商品に限らず、株価や債券価格も軒並み下落した。不動産投資市場の主要な資金源だった欧米の年金基金や生命保険会社のポートフォリオが毀損し、手持ち残高が縮小するなかで、今は不動産セクターへの資金供給もストップしてしまった。

 これらの機関投資家が運用ポリシーで規定している不動産への投資比率はせいぜい数%だから、その投資比率が突出するのを防ぐためには、物件価値が傷んでいようとなかろうと拠出金額を減らす(リバランスする)以外にないわけだ。デノミーネーター・エフェクトは、金融危機の影響がデット(融資)資金の枯渇にとどまらず、エクイティの部分にまで及んでいることを象徴している。

 13日に開催されたパネル・ディスカッション、「Who's lending now?」では、ING Real Estateの融資部門で欧州アジア地域のCEOを務めるMichiel Rang氏が過去の金融危機を振り返った。彼は1980年の米国における貯蓄銀行の連鎖倒産、1982年のラテン諸国の債務超過、1990年の日本のバブル崩壊、1997年のアジア危機を経験している。多少の相違はあるが、それぞれの地域では3年程度の深い谷のあと、7年程度の停滞期を迎えた。

 同セッションでは、欧米の銀行が損失確定を恐れて不動産の差し押さえを実行せず、返済期限延長に応じている実態が話題に上った。物件が市場に放出されれば不動産市場の流動性が回復する可能性があるが、いまはまだその段階にないという認識だ。現在の危機の行方は誰も予測できないが、まだ始まったばかりだとRang氏は警告する。

(本間 純=仏カンヌ)

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