生まれて初めての議会喚問

 07年に実施された設計コンペで、隈研吾建築都市設計事務所はナカドマを中心とするプランを提案し、設計者に選ばれた〔図1〕。実はその段階では、議場は最上階にあった。

〔図1〕設計と並行して議員へのプレゼン、市民ワークショップを実施
コンペから開館までの経緯。左側は主に議会関係者へのプレゼン、右側は市民ワークショップ。写真は開館後のナカドマのにぎわい(資料:隈研吾建築都市設計事務所と長岡市の資料をもとに日経アーキテクチュアが作成、写真:左は隈研吾建築都市設計事務所、右は日経アーキテクチュア)

 隈氏は翌08年4月、基本設計案を市に提示する。その案では、最上階にあった議場を1階に移した。「基本設計を進めながらコンセプトを詰めていくと、市民が集うナカドマに面して議場を配置するのが自然だ」(隈氏)と思えたからだ。とはいうものの、「そのときには、実現にこれほど苦労するとは思っていなかった」。

 議場を1階に置いた基本設計案は、議会で波紋を呼んだ。自治体の議場は、庁舎の最上階に位置しているのが一般的。コンペ案の選定前に、市議会の委員会が出した「1階を市民利用スペースとし、議場は中高層部に配置する」という提言にも反していた。市の職員は先例を調べたが、同規模以上の自治体で1階に議場がある例は見つからなかった。

 なぜ1階に議場なのか。隈氏は08年5月、議員協議会で生まれて初めての“喚問”を受けた。市民に向けて説明する機会には慣れていた隈氏も、名前を呼ばれるまで発言が許されないなど独特の雰囲気のなかで、「さすがに緊張した」と振り返る。