ワンストップ体制で建て主と価値観を共有

 工務店である当社が、不動産の分野にまで踏み込んだのは、家づくりの川上に関わるべきだと痛感することがしばしばあったためだ。建て主は、土地を購入してから当社に設計を依頼してくる。ところが、不動産会社の都合で勧められた土地だったために、建て主の要望に沿った家づくりが困難なケースが少なくなかった。

 そこで、岡庭不動産を設立して、土地探しの段階から建て主をサポートしていく体制を整えた。建て主がよさそうな土地を見付けたと言えば、一緒に見学に行き、要望にかなう家に適しているかどうかをアドバイスする。土地購入に不可欠な金融機関との付き合いを深めたり、中立的な判断をするためにファイナルシャルプランナー(FP)の意見を仰いだりしながら、建て主にとって最適な家づくりが進められるようにしている。

 当社に営業マンはいない。営業して仕事を取ってくるのではなく、建て主に選ばれる工務店を目指しているためだ。社内のスタッフは、設計と工事、アドバイザーという3つの担当に大きく分けている。アドバイザーというのは広報担当のような役割で、当社の取り組みの広報や、家づくりにまつわる相談、見学会などのイベント企画を担当する。3つの担当が連携する家づくりを「チームおかにわ」と名付けて、当社の取り組みをエンドユーザーに理解してもらいやすくしている。

●チームおかにわ
設計・工事・アドバイザーの3つの担当からなる「チームおかにわ」で家づくりに取り組む。広報の役目を担うアドバイザーを置く代わりに、営業マンは1人もいない(資料:岡庭建設)

 家づくりのモットーには「みんなでつくるいえ」を掲げている。建て主から言われるままでなく、設計や施工のプロとして積極的に意見を出し、家づくりに携わる全員がベクトルを揃えていくことを重視している。そのおかげで、「言う通りに家をつくってくれ」という建て主はあまりいない。その分、手掛ける件数は限られるが、そもそも年間24棟ほどで手いっぱいなので、価値観を共有できる人たちと家づくりができればよいと考えている。