日本の優れた環境技術が世界に伝わっていない

安達 これからの時代、企業や自治体は何をすべきですか。

望月 まず情報戦を仕掛けることです。政府間でも企業間でも、交渉時にこちらが頭を下げなければいけないようでは、相手に軽く見られます。むしろ交渉相手から教えを乞われる構図を、情報戦によってつくることが不可欠です。

 例を挙げます。再生可能エネルギーを生み出す技術はその55%が日本の特許技術で成り立っていることを、ご存じですか。ところがそれは、伝わっていない。「クリーンテックカントリーズトップ10」というランキングでは、CO2を排出しているはずの米国は7位、中国は9位にランクインしているのに、日本の名前はない。日本の技術に学んで欲しいと思うものの、その優れた点は伝わっていないのです。

安達 情報戦の具体的な取り組みは何かありますか。

望月 スマートシティの実証地域である横浜市、豊田市、けいはんな学研都市、北九州市の取り組みを英語や中国語で紹介したところ、中国の大手企業から勉強させて欲しいと申し入れを受けました。メディアを通して情報戦を展開すれば、こんなふうに相手から頼られる構図をつくることができるわけです。

(写真:澤田聖司)

安達 それは、すごいですね。

望月 日本再生に向けた突破口のもう一つは、異業種連携です。新しく産業として成り立ちそうな領域は、複数の業界にまたがっています。次世代自動車・ITSは、自動車と電機が、スマートハウスは、電機、建設・不動産、ITが一緒になって成り立つものです。

●次世代・製造業の突破口

桔梗原 その異業種連携で武器になるのが、ICTです。ICTでいま何ができるのか、これから何ができるようになるのか、それを意識しておかないといけません。

安達 なるほど。ただ、組織単位で変わるには時間が掛かりますよね。並行してフットワーク軽く動くことのできる個人から変わることも重要です。

 個人でできることの一つは、タコツボを抜け出て外界と自らつながりを持つことです。一方で、つながるということはそう思うようにはいかない。乗り越えるには意思ある楽観主義が大切です。

望月 異業種連携は世界の潮流ですが、確かに日本ではなかなか思うように進みません。

 それはなぜか。背景には、コンプライアンスの強化があります。展示会やカンファレンス終了後、懇親会が開催されますが、日本の大手の中には「お酒の出る場に出てはいけない」と、出席を止める企業があります。公民連携も似たような状況で、自治体が民間企業の人に会っていると、それだけで良からぬこととみられます。これでは、腹を割った話はできません。