ストック活用は前向きな視点で

桑原 15年2月に空き家等対策の推進に関する特別措置法が一部施行されました。東京23区内でも、取り壊し後の土地活用などを含めて、対策が活発化しています。

小原 ただ、地方では空き家の利活用は、都心とは異なる手法が求められるのではないでしょうか。

畠中 東京大学大学院の松村秀一教授が指摘されていますが、「空き家問題」ではなく「空き家資源」と捉える前向きな視点も必要なのでしょう。

桑原 長野市の善光寺の周辺では、空き家などをワーキングスペースやカフェ、工房に改修して好評ですよね。福岡県うきは市では、空き家を改修して、田舎暮らしを検討する人が居住体験できる施設にしています。

(写真:中村宏)

畠中 ストック活用という面では、土木構造物の対応も重要になります。

野中 高速道路の大規模更新・修繕事業などですね。首都高は、高速1号羽田線(東品川桟橋・鮫洲埋立部)を皮切りに、大掛かりな工事が続きます。

小原 土木業界で、維持管理や補修は花形事業になりつつあるのですか?

野中 いや、1件当たりの受注額が小さいですからね。更新事業があれば、大手はそちらを優先するはずです。維持管理や補修でお金が稼げるようにならないと厳しいですよね。今後、人口減少を理由に、構造物の維持自体をやめるという選択も出てくると思います。老朽化した施設の解体費を起債で賄える制度もできましたからね。

小原 住宅や建築には、壁を壊さずに既存の構造体の内側や外側に耐震補強や断熱改修を施す方法が開発されています。まだ発展途上ですが、性能向上や維持管理・補修はいろいろな方法を考えて、採算の合う、やりがいのある仕事にしていかなければいけませんよね。

(写真:中村宏)