住宅の省エネは「健康を買う」意識で

畠中 政府はこの3月に、建築・住宅の2020年の省エネ基準適合義務化に向け、新しい法案(建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律案)を閣議決定しました。いよいよ義務化の動きが具体化していきます。

桑原 住宅業界では省エネ基準への注目度が高まっています。実際に、省エネを売りにした住宅会社も増えています。

小原 戸建て住宅はともかく、分譲マンションは採算性を重視するので、義務化されるまでは動きが鈍いのでは。

桑原 買う人が求めない限りは、確かに導入が進みにくいですね。戸建ても、省エネ効果に対して初期コストが大きく、導入している人は「健康や快適性を得る」意識なのだと思います。

三上 オフィスは大型新築ビルの多くがCASBEEやLEEDといった環境認証を取得しています。世界的には、責任不動産投資の動きが広がっていますね。環境・社会・ガバナンスに配慮した不動産に投資しようという考えです。海外では投資家だけでなく、テナントも環境性能を重視します。建設業界としても、そうした人たちに選ばれるビルにしなければ、スタートラインにも立てない時代になりつつあります。

(写真:中村宏)

小原 15年4月から、住宅性能表示制度が改正されて、断熱等性能等級と一次エネルギー消費量等級において、最高等級は数値の併記が可能になりました。頑張れば頑張った分だけ高い数値を表示できるので、対応する技術力のある住宅会社にとっては、差別化のポイントになりそうです。

畠中 一方で、政府は電力小売りの全面自由化や送配電分離などの電力システム改革を2020年ごろまでに実現する方針を示しています。新しい電力サービスを入り口にして、いろいろな生活サービスがこれから展開されていくでしょう。

野中 日本IBMが石巻のスマートシティ―事業に参画しているのも、エネルギーだけでなく、さまざまなサービスを提供したいからでしょうね。

畠中 利用者が電力サービスを選べるようになるのは、『つくる』から『使う』への動きの象徴といえます。使い手本位の成熟市場で、建築・土木界もいかに顧客視点でサービスを提供できるかがカギになる。

(写真:中村宏)