コンパクトシティ形成には魅力的なビジョンが必要

畠中 高齢化が進むなか、健康寿命を延ばすという観点でも、歩いて回れるコンパクトな街が理想になります。その意味では、2014年8月に施行された改正都市再生特別措置法で、都市機能の集約や住宅地の誘導を進める施策が打ち出されたことは、大きな一歩になる。

野中 コンパクトシティの成否は、行政の誘導にかかっていると思います。成功例としてよく話題になる富山市では、強制的に住み替えを促すのではなく、中心市街地に住む利益を説明して、少しずつ誘導しています。

コンパクトシティ化に向けた施策を進める代表的な地方自治体として知られる富山市の富山駅付近 2014年10月撮影(写真:加藤 純)

小原 富山は中心市街地にマンションがまず建って、最近少しずつ、スーパーマーケットなどが整備されてきました。

桑原 地方では郊外の大きな商業施設にクルマで買い物に行くライフスタイルが定着していますが、これからは逆に駅前へ集めるわけですね。

畠中 駅前に持ってくるなら、病院も有力な候補になる。高齢者は病院の近くに住みたい意向が強く、人が集まって交流も生むので、街のコンパクト化を促進できるかもしれません。

三上 若い人が働ける産業も必要ですね。長期的に街が続いていくために。

畠中 働く場所も含め、郊外の住民が集約化の流れに乗ってもいいと思えるビジョン、魅力的な街づくりが必要でしょう。「街が効率的になるから」という理屈では住み替えは進みません。そこは建築や土木の専門家の腕の見せどころだと思います。