都心部は既存ストックを活用した空港アクセス構想

蒲田駅を発着する東急池上線・多摩川線の電車。新空港線「蒲蒲線」は、写真右側の地下を走り、京急蒲田へと結ばれるイメージ。大田区は「わずか800mを結ぶことにより、区内の東西交通を補完する機能に加え、東横線、副都心線を経由し、西武池袋線、東武東上線などと相互直通運転することにより、羽田空港─蒲田─渋谷─新宿三丁目─池袋─多摩や埼玉方面を結ぶ新たな広域交通ネットワークが形成される」と期待する(写真:大野 雅人)

 東京都は、広域交通ネットワーク形成に向けた4つの目標のなかのひとつに、空港アクセスの強化、拠点間移動の時間短縮などを指標とした「都市の活力の維持向上」を挙げている。整備効果が高いと都が見込む羽田アクセス線は、そのほかの延伸構想と違い、既存ストックを活用した新たな路線整備への期待という意味も込められている。

 羽田空港周辺のこうした構想は、JR東日本が打ち出した羽田アクセス線のほかに、JR・東急蒲田駅と京急蒲田駅を結ぶイメージの新空港線(蒲蒲線)や、新東京駅(仮称)を経由する都心直結線、東海道貨物支線貨客併用化などがある。

 18号答申で「目標年次(2015年)までに整備着手することが適当である路線(A2路線)」と位置付けられている新空港線(蒲蒲線)について、都は、多くの課題もあるが整備効果が見込まれるとし、都の中間まとめ発表直後に大田区も「羽田アクセス向上のほか、既存路線の迂回ルートとなり、災害に強い都市づくりに大きく貢献する」と呼応した。

 また、大深度地下で計画されている都心直結線について、交通政策審議会は昨夏、「都心から羽田・成田の両空港に乗り換えなくアクセスできる都心直結線の整備について検討している。実現すれば、東京から羽田空港へは18分、成田空港へは36分でアクセス可能」と示したが、都は中間まとめで触れなかった。

 都は、国交省の交通政策審議会の検討状況をみながら、2015年度中に都の考え方をまとめ国交省に提示する予定だ。

東京都は中間まとめでつくばエクスプレス(TX)延伸について「沿線地域の利便性向上等の整備効果が見込まれる」と示した。TXの東京駅延伸は、大深度地下で計画されているという。写真は、常磐道守谷サービスエリア付近に設置されたTXの高架橋(写真:大野 雅人)

東京8号線延伸(有楽町線・豊洲─住吉)の計画ルート上には、江東区塩浜にある越中島貨物駅(東京レールセンター)がある。砂潮橋からは、車庫を出庫した高速バスやDE10形ディーゼル機関車がひくレール輸送列車の姿が見える(写真:大野 雅人)

りんかい線と線路がつながっている京葉線は、羽田・渋谷方面との直通を期待する声もある一方、「中央線方面延伸、総武線・京葉線接続新線(仮称)の新設」(18号答申)という計画もある(写真:大野 雅人)

新幹線大井車庫へと向かう回送線(左)や、東海道貨物線(中)、首都高湾岸線(右)を見下ろす。羽田アクセス線構想は、こうした既存の線路を活用して計画されている(写真:大野 雅人)

鶴見線の浜川崎駅と武蔵白石駅の間にある竹の下踏切(川崎区田辺新田)に立つ。鶴見線の線路のとなりに、東海道貨物線の高架橋が見える。18号答申では、こうした貨物線に着目した東海道貨物支線貨客併用化計画も盛り込まれている(写真:大野 雅人)

東関東自動車道・湾岸道(国道357号)と京葉線(二俣支線)が交差する地点に立つ。武蔵野線西船橋方面から蘇我方面へと向かう貨物列車の姿が見える。京葉線には「総武線・京葉線接続新線(仮称)の新設」(18号答申)という計画もある(写真:大野 雅人)

【編集部から】
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