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 全国ワーストクラスの混雑緩和とラッシュ時の遅延解消に向けて、大改良工事が進む東京地下鉄(東京メトロ)東西線。前回の南砂町駅の工事に続けて、今回は木場駅の工事を取り上げる。列車を運行しながら既存のシールドトンネルを解体し、上部に新たな空間を生み出してコンコースを新設する。東京メトロによると、世界初の工事だ。

 木場駅は1967年の大手町─東陽町間延伸に合わせて開業した、営団地下鉄(現東京メトロ)で初のシールド工法によって造られた駅だ。永代通りの真下に位置し、深さは約22.4mと、東西線の中でもっとも深い。単線の円形シールドトンネル2本の中にそれぞれホームがあり、両端に地上とを結ぶ階段・エスカレーターやコンコースを設けた構造で、その構造から両端の階段付近でしか両方面のホーム間の行き来ができないのがネックだ。

木場駅は2本のシールドトンネルを並べた形で、中野方面と西船橋方面のホームは両端の階段部分でしかつながっていない(写真:小佐野カゲトシ)

 同駅も近年乗降客数が増加しており、特に西口(舟木橋方面改札)は商業施設のオープンなどで利用者が増えている。しかし、出入口がホーム両端にしかなくホームの幅も片側3mと狭いことから、ラッシュ時の混雑緩和が課題となっていた。

木場駅の西口(舟木橋方面)改札に通じる4b出口。2カ所ある改札のうち、特に西側の利用者が増えている(写真:小佐野カゲトシ)

木場駅の舟木橋方面改札。昼間でも人が通らない瞬間はあまりない(写真:小佐野カゲトシ)

舟木橋方面改札からエスカレーターを降りると、中野方面行き電車の先頭付近に出る。ホームの構造上、どうしても両端に乗客が集中しやすい(写真:小佐野カゲトシ)

 そこで、西口側の約70mで既存のシールドトンネルを解体し、両ホーム間を隔てている部分を撤去してホームを拡幅。トンネル上に新たなコンコースを設けてエスカレーターとエレベーターを増やし、利用者の流れを分散させて混雑緩和を図ることになった。列車を運行しながら既設のシールドトンネルを解体し、地上から掘削して新たな空間を生み出す工事は世界初の事例だ。

中野寄りの約70mでシールドトンネルを解体し、ホーム幅を広げるとともに新たなコンコースをトンネル上に設ける(資料:東京メトロ)