「開け閉めできる」ことが重要

田辺新一(たなべ・しんいち)/1958年福岡県生まれ。84年早稲田大学大学院修了後、デンマーク工科大学暖房空調研究所、カリフォルニア大学バークレー校環境計画研究所などを経て、2001年早稲田大学理工学部建築学科教授(07年改編)。「竹中工務店東京本店の環境・設備計画と実地」「鹿島赤坂別館の空気調和設備」などで空気調和・衛生工学会賞受賞(写真:中村宏)

阿見 住宅ごとのデザインコンセプトに合った窓枠にしたい、という考え方もあるのかと思います。窓のデザイン性についてはどのようにお考えですか。

千葉 難しいですね。枠自体のデザインにはあまりこだわっていません。先ほどの話に通じますが、視界を遮る窓があってもいいのではないかと思います。換気のためだけにちょっと窓を開けたいという個所も、意外にあるはずです。

田辺 窓を開け閉めする行為というのは実は、非常に大切です。例えば自然換気ができる建物にしておくと、そこを使っている人の許容できる室温の幅が広がるという心理的効果の研究などもあるのです。「オープナブルウインドウ」と呼ぶコンセプトで、窓は開くようにつくったほうがいいという考え方です。

千葉 自ら開けたり閉めたりできると分かっているだけで、室温の多少の高低がある環境でも我慢できるということですね。

――次は田辺さんから、実際の取り組みをいくつかご紹介いただけますか。

田辺 今年(2014年)1月、大学対抗でゼロエネルギー住宅をつくって競うコンテストがありました(エネマネハウス2014)。

 旭化成ホームズ、三協立山などの協力を得て早稲田大学のチームが提案した住宅には、高性能のLow-Eガラスと断熱・遮熱ブラインドを組み合わせた窓を採用しています。アルミサッシの場合、熱橋の問題が生じ得るので、ブラインドを組み合わせて性能を上げているわけです。アルミのすっきりした美しさが好きなので、あえて採用したものです。黒色のサッシとし、ガスケットも黒く塗ってもらってガラスの厚みを見せないように工夫しました。

エネマネハウス2014に採択された「Nobi-Nobi House~重ね着するすまい」。参加5大学のうちの早稲田大学によるもので、代表は田辺新一氏。ほかに創造理工学部建築学科教授の古谷誠章氏、高口洋人氏ら、また民間企業としては旭化成ホームズ、三協立山、東京ガスなどが加わってコンソーシアムを組織して取り組んだ。設備コアを、居住ゾーン、半屋外ゾーンが囲む三重構造で、季節に応じて日射や通風をきめ細かく調整できるように工夫している(写真:早稲田大学創造理工学部建築学科)

 ほかには、自然換気窓も独自に開発しています。アルミ製の窓で、自然風を利用して開閉の度合いを調節する仕組みになっています。強い風が吹くと閉まる機構なので、台風の日に閉め忘れて外出しても、雨が全く降り込まず済んだというほどの性能を発揮しています。

田辺新一氏が、建築家の古谷誠章氏(早稲田大学創造理工学部建築学科教授)、サッシメーカーと共同で開発した自然換気窓。風の強い時でも、家の中には風が吹き込まないような機構になっている。住宅以外に小学校、カフェなどにも採用されている(写真:田辺新一)