関連動向
エリアマネジメントの資金調達を可能にする「BID制度」

 カナダや米国、英国で進展してきたBID(Business Improvement Districts)制度は、特定のエリアの地権者などを対象に、税金に上乗せする格好で自治体が課金し、収入をエリアマネジメント組織(BID)に配分する 仕組みになっている。BIDは、これをエリアの課題解決やにぎわい創出のための資金に充てる。

 国内では大阪市が同様の制度の創設を目指し、2013年に「大阪版BID制度検討会」を設置し、14年2月には「大阪市エリアマネジメント活動促進条例」として成立を果たしている。小林重敬氏は、同検討会の委員(座長)を務めた。

 検討過程では、マネジメントの活動資金として、例えば都市計画事業のために用いる都市計画税を使うことができないかなど、様々な財源確保策が議論された。しかし、都市計画税については、都市計画事業や土地区 画整理事業に要する費用に充当すると定められているため、マネジメント業務にはなじまないなど、それぞれ課題があるという結論になった。また税制の改正には、「政府税制調査会をはじめとして、各省庁間などの議論がそれぞれ必要になるため、それに3~4年の期間を要しかねない。そこで大阪版BIDでは、税金を用いず、様々な制度を組み合わせることによって財源確保を可能にする条例を制定した」(小林氏)。

 その骨子は、地方自治法にある分担金の制度に基づいてエリア内の地権者などから市が分担金を徴収し、これをエリアマネジメント組織(民間団体)向けに交付する、というものだ。ただし、これは暫定的な仕組みで、小林氏は「将来的には税金型の制度の創設が望ましい」としている。

大阪市による「エリアマネジメント活動促進制度」では、市が地権者などから徴収した分担金をもとに、民間団体が公共空間における自由度と質の高い活動をできるようにすることを目指している (大阪市公表の資料を基に日経アーキテクチュアが作成)

出典:2014 Summer 特別編集版 10~13 Vol.027 「防災」再考 安全・安心な家、ビル、まちづくりに向けて
記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。