都心部にならって各地にマネジメント組織が発足

──エリアマネジメントを担うのは具体的には誰なのですか?

小林 これまで私は、幾つかの大都市の中心部のエリアマネジメントに関わってきました。そうしたエリアで主体となり得るのは必然的に大手の企業です。例えば、我が国で初めてエリアマネジメントを標榜して活動を始めたのは東京の大手町・丸の内・有楽町(大丸有)地区で、エリア内に不動産を保有するデベロッパーや、オフィスを置いている法人など100社を超える法人が会員として活動に携わっています(Aを参照)。大丸有地区の取り組みが評価を受け、現在では札幌、横浜、名古屋、大阪、神戸、福岡などほとんどの大都市にエリアマネジメント組織が存在します。

【A】東京・大丸有地区のエリアマネジメント
大手町・丸の内・有楽町地区では、1988年設立の同地区まちづくり協議会(旧・再開発計画推進協議会)、これに都などが加わる96年設立の同地区まちづくり懇談会、大丸有エリアマネジメント協会(リガーレ、2002年に都のNPO法人認証)などがまちづくりに関わる。小林重敬氏はリガーレの理事長を務める。リガーレは主にソフト面を担い、環境改善活動をはじめ、様々なイベントやセミナーの開催、広報活動などを行う。エリア内の法人とその就業者を中心としつつ、大丸有地区が好きであれば誰でも会員になることができる、という開かれた性格を持つ。上はリガーレのホームページの「防災」欄 (資料:大丸有エリアマネジメント協会)

 1998年の中心市街地活性化法の施行後、全国各地にタウンマネジメント組織(TMO:Town Management Organization)が発足しましたが、これは少し別の動きです。TMOによりますが、結果として行政主導になっていき、自分たちの手で積極的にマネジメントを行う意識が欠けている場合があります。それは民間主導で進めるエリアマネジメントとは違うものだと考えています。

──エリアの設定はどう決めるのですか?

小林 民間主導ですから、対象エリアと行政区域とが一致しないのが普通です。例えば、福岡市の天神地区では、エリアマネジメントを始めるに当たって、まず賛同者を募っています。その結果、天神駅周辺の地権者や事業者が集まり、ぼやっとした500メートル圏ぐらいのエリアで活動を開始しています。

 しかし、やがて組織が成長して本格的な活動に入る段階になると、会員に資金的な負担を仰ぐ格好になります。そこで明確な権利と義務が生じるので、対象エリアをしっかり確定する必要が生じます(Bを参照)。

【B】福岡・天神地区のエリアマネジメント(エリア設定)
福岡市の天神地区では、多様な活動主体の参画を可能とするよう、2段階でエリアを設定している。エリア内の関係者による十分な努力と理解が必要となる「重点取り組みエリア」(図の橙色の部分)、都市機能の連続性や一体的な発展の必要性を踏まえた「まちづくり連携エリア」(緑色の部分)に分かれる (資料:We Love 天神協議会『天神まちづくりガイドライン』、2008)

──地方の小都市でも、可能性のある手法でしょうか?

小林 米国には年間事業費が1000万円程度の規模で活動しているエリアマネジメント組織もあるぐらいですから、規模が大きくなければ運営が立ち行かない、というものではありません。地方都市の中心市街地における課題の設定は、商業活性化に偏りがちでした。中小企業庁などは、それでは限界があると現在では感じているようです。商業もあるけれど、ほかの要素もあるというように発想を変えなければならない。そもそも地方都市の中心市街地というのは、農業、漁業、林業など周辺地域に根差した産業の交易の場として成り立ってきたものなので、それらとの関係を抜きにしての活性化はあり得ません。そうした観点を持てば、地方の小都市でも十分にエリアマネジメント活動は成り立ちます。