こばやし・しげのり 1942年東京生まれ。東京大学工学部都市工学科卒業、同大学院博士課程修了。横浜国立大学大学院教授、参議院国土交通委員会客員研究員などを歴任、東京の都市ビジョンづくり、横浜みなとみらい21の開発、高松市、長浜市などの中心市街地活性化に参画。現在、上記のほか、横浜国立大学名誉教授、全国市街地再開発協会理事長、神田淡路地区街づくり協議会顧問などを兼任。著書に『エリアマネジメント――地区組織による計画と管理運営』『都市計画はどう変わるか』など (写真:中村 宏)

特定エリアを対象とする、民間主導による継続的なマネジメントの取り組みが各地で進展している。災害時の対応など、安全・安心なまちを実現する主体として期待が高まる。エリアマネジメントを実践してきた東京都市大学の小林重敬教授に聞く。

──「エリアマネジメント」という言葉をよく耳にするようになりました。その取り組みと防災の関係をお聞きする前に、まずはエリアマネジメントとは何かをお話しいただけますか。

小林 これまでの日本における都市づくりやまちづくりは「つくる」ことに重点を置き過ぎ、できた後のマネジメントのほうが実は重要なのに、それを軽視していました。結果として衰退していったまちが多いのですが、一度衰退しきってしまったまちが立ち直るのは非常に困難です。そうならないようにするために、できた後のまちをどうしていくかの方向性を定め、エリア単位で積極的にマネジメントしていく活動が必要なのです。

 エリアマネジメントにおいて重要な点は3つあります。

 1つは、エリアに固有のリソース(資源)を把握することです。どのような魅力的な、あるいは有意義なリソースがあるのかを確認し、既に地元に根付いているものを継続的にまちづくりに生かしていくことが大切です。

 2つめは、まちが持つ課題を洗い出し、その課題を克服できるようにまちをつくり替えることです。つくり替えても、また後に別の課題が生じてはいけないので、そうならないようにマネジメントしていかなければなりません。

 3つめは、次々と生まれてくる新しい社会動向にエリアとして対応していくことです。単純に対応するだけではなく、まちを「育てる」ことを継続的に考えていかなければなりません。防災というテーマに直結しますが、最近の動向としては東日本大震災以降、安全・安心なまちづくりがエリアマネジメントの課題として急浮上しています。

 これらに留意し、最終的には地域価値を向上させること、さらにその価値を高いまま維持することをエリアマネジメントが担っていくのです。