NTTファシリティーズの新研究拠点がこの7月にオープンする。独自開発の輻射空調システムなど新しい省エネルギー技術や、隅田川沿いという立地を生かして自然通風を取り入れた設計などにより、CASBEE Sランク(BEE値3.6)相当を達成。LEED(ゴールド)を申請中だ。

 NTTファシリティーズ新大橋ビル(東京都江東区)は、同社研究開発本部の新拠点。2014年7月末に開業予定だ。研究開発と実験検証オフィスを一カ所に統合した新拠点では、ワークプレイスに関する自社の新開発技術を取り入れ、実証結果を研究にフィードバックしていく。

通風の快適性をBIMで検証

 隅田川に面した敷地の特性を生かし、自然通風や地中熱の利用、新開発の輻射空調システムの導入などにより、エネルギー負荷の低減に取り組む。

 「東西に大きな開口を取り、両側の窓を開けると風が通るようにした。BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)モデルを用いたCFD(数値流体力学)解析によって空気の流れを検証、中間期や夜間には自然通風だけでオフィスの快適性が確保できることを確認した(図1)」――設計時の担当者で、現在は国際部に所属する松浦裕己氏はこう語る。

図1  川風を生かした自然通風で空調負荷を低減
東西面の大開口にはLow-E複層ガラスを採用。掃き出しサッシを手動で開け閉めし、隅田川の川風を取り入れる。窓には虫除けの網戸も設置した。自然通風の有効性を確認するためにBIMモデルを用いたCFD解析を実施。4~6月と10~11月の中間期において、冷房消費電力を約50%削減できることを確認した(資料:NTTファシリティーズ、写真:日経アーキテクチュア)

 空調を停止する時間が増える分、エネルギー消費量が削減できる。適切な外気温度になると、自社開発のクラウド型BEMS(ビルエネルギー管理システム)が、空調を止めて窓を開けるよう端末に通知するようになっている。

 躯体は地下1階地上4階建て。地下が鉄筋コンクリート造、地上が鉄骨造だ。外装材には断熱材を張った押出成形セメント板とALCを採用。東西に長い建物配置とし、南北面の開口は最小限にとどめた。妻側となる東西面にはバルコニーを持つ大開口を設け、風を取り入れる。既製品の掃き出しサッシを採用し、手動で開閉。同時に、階段室の最上部にも通風窓を設けた。

西側が隅田川に面している。妻側にあたる東西面にはバルコニー付きの大開口を設けた(写真:日経アーキテクチュア)

 「最近の省エネ建築物は、PAL値向上のために外装の重装備化が進んでいるが、今回は軽装、ローテクをテーマに設計した。PAL値は低減率39.4%だ」と松浦氏は語る。建設費は非公表だが、内外装とも“軽装備”なのでコストも比較的低く抑えられたようだ。