ビルの老朽化やエネルギーコスト高騰を受けて、中小ビルの省エネ性能強化に向けた取り組みが活発化している。ザイマックスはビルのエネルギーコストを指標化し公表をはじめた。全国ビルメンテナンス協会は設備運用の標準化や資格制度創設に向けて動き出した。

 不動産マネジメント大手のザイマックス(東京都港区)の調査によると、2014年初時点で東京23区の延べ面積300坪以上5000坪未満の中小ビルのストックは約521万坪に上り、このうち築20年を超えるビルは約414万坪と、同ストック全体の79%を占める。

 「中小ビルの約半数を占めるバブル期のビルの老朽化が進んでいる。環境、エネルギー性能の向上はいまやビル運営の主要テーマの1つだ」ーー。ザイマックス環境・エネルギーソリューション部の清家聡マネジャーはこう指摘する。1990年前後のバブル期に大量供給されたビルの省エネ化は、ビル事業者にとって大きな課題の1つになりそうだ。

 エネルギー価格の高騰も事業者に省エネを迫る。同社は2014年2月、「オフィスビルエネルギー消費量及びコストに関する調査結果」(図1)を公表した。首都圏で同社が運営するビルのうち約100棟について、専有部と共用部を含め、電気、ガスなどすべてを1次エネルギー消費量に換算して算出したものだ。

図1  首都圏オフィスビルのエネルギー消費量・単価・コストの推移
3つの指標の関係は、コスト=単価×消費量となる。ザイマックスでは調査結果を定期的に公表予定だ(資料:ザイマックス不動産総合研究所)

 この調査によると、2011年の東日本大震災の影響でエネルギー消費量は減少したまま戻らず、2010年比で15%減の水準が続いている。一方、エネルギー単価は一貫して上昇し、13年は10年比で36%高くなっている。

 その結果、運営改善や節電などでエネルギー消費量が減少したにもかかわらず、1m2当たりのエネルギーコストは10年比で15%上昇した。エネルギー単価が下がる要素が見つけにくい今、さらなる省エネ対策が必要だ。

 ザイマックスでは今後、同調査を定期的に公表していく。清家マネジャーは「ビル運営では、エネルギーコストのほか、修繕・管理費などの他の支出も適切に把握していくことが大切。これらの費用についても、比較対象となり得るような指標の作成を検討している」と話す。