東京の丸の内や西新宿で、超高層ビルが“発電所”に変身。電力の使用量がピークとなる夏の日中に、それらのビルで使う電気をビル内で発電する。火力や原子力による発電所などインフラの整備を抑制でき、社会にも貢献する――。

 こんな未来を実現する製品をシャープが開発した。窓や壁など半透明ガラスとして使える太陽電池モジュール「シースルー太陽電池モジュール」がそれだ。2013年に追加したモジュールで開口率やサイズのバリエーションを広げ、実用性を向上させた。

シースルー太陽電池モジュール。ガラスとして使える太陽電池モジュールだ(資料:シャープ)

開口率を10%とした製品と20%とした製品を用意した(資料:シャープ)

 建物の屋根や屋上を使った太陽光発電には、向き不向きがある。導入に向いているのは、戸建て住宅や中低層のマンション。建物の規模に対して屋根や屋上の面積が広く、相応の発電量が期待できるからだ。発電した電気を居住者が使え、余れば電力会社に売ることも可能。こうした構図が太陽光発電を導入するインセンティブになっている。

 対して高層のビルやマンションなどでは、建物の規模の割には屋上の面積が狭く、太陽光による発電量はあまり期待できない。屋上は設備機器を載せたりヘリポートを設置したりと、ほかの用途とも競合する。太陽光発電を導入するインセンティブが働きにくい。

増えるガラス建築の壁面を有効利用

 こうした状況を解決する一つの手段となるのがシースルー太陽電池モジュールだ。窓ガラスやバルコニーの手すり部分などに採用することで、壁面を使った発電が可能になる。例えば、間口と奥行きがともに50mで高さが150mの超高層ビルであれば、屋上の面積は2500m2であるのに対して、壁の面積は1面だけで7500m2と3倍に増える。

 都心のオフィス街では建物の高層化が進み、窓を含めて壁面をガラスで覆う建物が増えている。また高層マンションでも、ガラスの開口部を大きくする傾向があり、バルコニーの手すり部分にガラスを使用するケースも増えている。

 高層のオフィスビルでは建物の規模が大きいことから、電力の使用量も多い。特に管理者は、電力のピーク時の使用量をいかに抑えるか腐心している。パソコンやコピーなどの機器から発する熱が多く、特に夏の日中は冷房の負荷が高まる。そのための電力を太陽光発電で賄えれば合理的だ。

 発電所の建設から建物内の機器導入に至るまで、電気にまつわる設備の規模やコストは電力の最大使用量に応じて決まる。電力使用量のピークを抑制することは、設備を小さくしてコストを低減できるので、社会的にも意義が大きい。

 これまで高層のビルやマンションでは、太陽光発電の導入が進んでこなかった。シースルー太陽電池モジュールの登場によって、導入へのインセンティブが有効に働く可能性がある。