来場者数は通常の内覧会の3~5倍

 来場者が気に入った展示に投票するユニークな試みは、単に人気1位を決めることが目的ではない。「理想のオフィス・未来のオフィス」の催しには、ビルブランドの認知度を高める効果もあった。

 野村不動産ビルディング事業部の担当者は、「通常の営業ではつかめなかったお客さまに、来ていただけました」と話す。普通の内覧会ならば、移転を目的とした企業の担当者が来場者の主体だが、今回は長期的な視点でオフィス移転を検討している人たちも呼び寄せた。通常の内覧会の3~5倍の来場者数だったという。オフィス需要が低迷していても、企画次第で人を集められるのだ。

 筆者も、この企画がなければ足を運ばなかった一人だ。展示会のついでにオフィス内を見学し、以前から気になっていたPMOブランドのビル仕様を確かめることができた。PMOは、プレミアム・ミッドサイズ・オフィスの略。1フロアの貸室面積が100坪前後と中小規模ながら、高い付加価値を備えることが開発コンセプトとなっている。

 ほかのオフィスビルとの違いは、エントランスホールに足を踏み入れるとすぐに気づく。心地よい“香り”が漂っている。説明によると、ユーカリなどのウッディ系をベースにグレープフルーツ、ライムでアクセントを付けたPMOオリジナルの香りだ。1階はエントランスだけで、貸室は設けていない。石張りの床が、落ち着きある雰囲気を醸し出している。

 PMOは、1フロアをテナント1社に貸す設計思想だ。セキュリティーにもこだわりがある。1階のエレベーターホールに防犯ゲートを設け、さらに、各階の貸室入り口にもICカードリーダーを設置した。フロアごとに配置したリフレッシュスペースやレストルームは、テナント専用のスペースだ。女性用トイレには小物入れを備えている。

 天井から足元まで開けた大型ガラスが自然光を取り込み、オフィス空間を明るくしている。天井高は2.7~2.8mでOAフロアは10cm。ビルの屋上緑化も標準仕様だ。PMOブランドのビルは、こうしたデザイン性、機能性、防犯性を共通して備えて、ほかとの違いを打ち出している。テナント候補にとっての“入居したくなるしかけ”が、いくつもあるビルといえそうだ。

 「PMO秋葉原」はシリーズの5物件目だ。月額の募集賃料は共益費込みで1坪当たり2万5000円。周辺の同規模ビルよりも高い設定だが、価値に納得したテナントを誘致する作戦だ。少人数ながら高収益を上げる弁護士事務所や会計士事務所、大手企業の支店などを主要なターゲットと位置づけている。

ビルの概要

名称:PMO秋葉原
所在地:東京都千代田区岩本町3-11-6
最寄り駅:地下鉄「秋葉原駅」「岩本町駅」徒歩3分
面積:土地730m2、延べ床4022m2
構造、階数(地上/地下):S造、8/0
竣工:2010年1月
設計:野村不動産/エンドウ・アソシエイツ
施工:東急建設
デザイン監修:飯島直樹デザイン室