投票結果は実用性重視?

 オフィスにかかわる立場によって、各社の展示に対する評価は異なるに違いない。経営者や総務担当者は効率やコストを優先し、ワーカーは快適性を求めるだろう。“理想”や“未来”の判断基準は人によってまちまちだし、世相にも影響を受ける。筆者も一票を投じる権利をもらったが、正直、迷った。

 岡村製作所のブースでは、体を包み込むような座り心地のいすが快適だった。高価だが「個人でも使ってみたい」と感じた。内田洋行のシステムユニットは、大がかりな工事なしにビル内に機能的な空間が築ける。国産木材のインテリアもよい雰囲気だ。

 悩んだ末に筆者が選んだのは、プラススペースデザインの展示だ。個室のように囲われた未来型デスクが気に入った。LED照明の色や照度を手元で調節できる。ホワイトノイズを発生させて雑音を消し、集中を助ける装置も付いている。それに、「オフィス内に街をつくる」という展示コンセプトにも共感した。あくまでワーカー視点での選択だ。経営者や総務担当者の立場だったら、別の展示に投票しただろう。

プラススペースデザインの未来型デスク。試作品で販売はしていない(写真:ケンプラッツ)

 結局、「理想のオフィス・未来のオフィス」フェアには、6日間で約650人が来場。3月10日に投票結果が発表され、LANシートで未来の働き方を提案したイトーキが1位になった。

 LANシートは、無線LAN対応のパソコンなどをネットワークに接続するための製品だ。シート上にパソコンを置くだけで使用できるので、配線のわずらわしさから解放される。ネットワークへの不正侵入やデータの不正傍受を防ぐため、シートから1mほど離れるとアクセスできなくなる仕組みだ。

1位になったイトーキのブース。机上の黒い部分がLANシート(写真:ケンプラッツ)

 LANシートに展示の的を絞ったイトーキの提案は見た目は簡素だが、シートをデスクにセットするだけで無線LANが使えるようになる機能性が高く評価されたようだ。来場者の中心層である総務関係者が、実用性を重視したともいえる。