住宅版エコポイント制度で脚光を浴びる「内窓」。既存サッシの内側に取り付けることで、窓面の断熱効果を高め、室内から熱が逃げるのを防ぐエコリフォーム建材として注目を集めている。内窓によるリフォームの話を耳にした際、十年近く前にマンションの結露対策を取材した当時に聞いた話を思い出した。

 「窓ガラスに生じる結露を止めると、室内のほかの個所に結露が発生する可能性がある」――。

 これは、シングルガラスの表面に生じる結露を嫌って、複層ガラスなどに改修したいというニーズに対して、安易にガラス面の結露を止めると、あちこちに結露を分散させる可能性があるとの警鐘だ。窓ガラスに結露することで、室内の水分量が増えることを防ぎ、室内のほかの個所で結露するのを防いでいるからだ。

 例えば、北側居室の外壁面や押し入れ、屋外とつながっている配管などは、表面温度が低くなりがちだ。窓ガラスの断熱性能を引き上げて結露を防止すると、こうした温度の低い個所に結露が発生する可能性がある。

 この懸念が現実のものとなり得るかを確認するため、マンション改修を数多く手掛ける建築設計事務所・アワーブレーン環境設計の代表取締役社長である須山清記氏に質問してみた。氏は、25年にわたってマンション改修に取り組んでいる技術者で、NPO法人リニューアル技術開発協会の会長も務める。

 須山氏は、「マンション住戸への内窓の設置は、結露防止に良い効果が圧倒的に大きい」という。室内の温度が高まることで壁などの温度も高まり、結露を防ぐ効果が期待できるからだ。

 内窓を設置して結露を防いだ結果、室内の水分量が増えるのではないかという不安については、室内全体では水分量はほぼ変わらないという答えだ。内窓を取り付けても室内の空気は既存窓面まで移動する。温度の低い既存ガラス面で、やはり結露が生じるということだ。

 懸念があるとすれば、既存ガラス面の結露水がきちんと屋外に排出できているか否かだ。ただし、この結露水は内窓を取り付ける以前から問題になっているはずだ。内窓を取り付けたから問題が発生するというものではない。

 こうした須山氏の見解は、「内窓を取り付けた結果、住戸内のほかの個所に結露問題が発生した例がない」という自身の経験に基づいている。