1時間当たり直行は4本、各駅停車は1本

 維持運営費の試算の根拠として、JR東海は想定する運行本数を示した。基本ダイヤは毎時片道5本とした。内訳は、品川-名古屋間を無停車の直行列車(東海道新幹線の「のぞみ号」に該当)が4本、各駅停車(同こだま号)が1本だ。

 南アルプスルートの年間想定需要167億人キロから、1日当たりの利用者数は約16万人と計算できる。リニア新幹線は1編成当たり約1000人の定員を想定している。平均乗車率が80%であるなら、1日当たりの列車本数は片道約100本になる。朝夕のラッシュ時や行楽シーズンには、毎時5本を超えて増発することになるだろう。

 柔軟なダイヤを組むには、駅は4本の軌道と2面のホームを持つ「2面4線」にするのが合理的だ。各駅停車が各駅で直行列車を退避できる。JR東海は詳細を公表していないものの、自治体に対して中間駅の典型例を提示している。

 これらを基に、南アルプスルートを前提にしたダイヤの例を挙げてみた。

リニア品川駅の時刻表の例。名古屋まで無停車の直行は15分おき、各駅停車は1時間おきを基本に、ラッシュ時は7分30秒おき増発する。時刻表では通常、秒を切り捨てるので見かけは7~8分おきとなる (資料:ケンプラッツ)
リニア新幹線のダイヤの例。直行は混雑時への対応を含め7分30秒おきに運行できるようにする。各駅停車は各駅で直行に抜かれる。このダイヤでは、両端駅も中間駅も2面4線の規模で列車をさばける (資料:ケンプラッツ)

 基本パターンとして直行は15分おきに運行する。増発時には、7分30秒おき(時刻表では7~8分おき)に運行できるよう、あらかじめ隠れたダイヤを設定しておく。各駅停車は、7分30秒おきに走る直行の合間を縫うようにして運行する。途中の各駅で直行に抜かれる。直行の品川-名古屋間が40分なのに対して、各停は70分程度かかりそうだ。

 品川と名古屋での折り返し時間を、直行は20分、各停は30分以内にする。こうすれば、両端駅は2面4線の規模で列車をさばくことが可能になる。

山梨リニア実験線に設置された分岐装置(ポイント)。中間駅の前後に設置して、直行列車が各駅停車を追い抜けるようにする (資料:ケンプラッツ)
山梨リニア見学センターの分岐装置を横から見たところ。ガイドウエーの下部に鉄輪が付いており、レール上を動かすことによって分岐装置を切り替える。通常の鉄道の分岐装置に比べると切り替えに時間がかかる (資料:ケンプラッツ)

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 リニア新幹線の姿は徐々に具体的になってきた。JR東海と各都県との実務レベルの情報交換も進みつつある。懸案のルートや中間駅に関する進展は、8月下旬現在、まだみられない。これからの動向に注目が集まる。