東海道新幹線の品川駅は増発目的

 品川駅がどのように位置づけられているのか、少し整理しておく。

 最初に品川駅が開業したのは1872年のことだ。日本初の鉄道が新橋-横浜(今の場所で言えば、廃止された汐留貨物駅から桜木町駅)に開通した際に開業した由緒ある駅なのだ。東京南部の鉄道の拠点として発展し、東海道線や山手線などJRの4線と京浜急行線が集結している。

 JR東海が東海道新幹線の品川駅を設置したのは2003年と比較的新しい。新幹線の車両基地などがあったスペースを活用して建設した。駅の上部に東京本社を設けるなど、同社の東京における本拠地と化している。駅の地下構造について、リニア新幹線の地下駅建設を見越して何らかの用意がなされているのでは、との噂が立つほどだ。

 東海道新幹線品川駅の1日当たりの乗客数は約2万6000人(2007年4月~08年3月、降車を含まず)。東京駅の約9万5000人(同)に比べると4分の1強にとどまるものの、利用者は増加傾向にあり、東京駅の混雑緩和にも貢献している。2008年のダイヤ改正で全列車が停車するようになるなど、重要性が増している。

 新幹線品川駅の位置付けは、現状では対航空路という性格が強い。羽田空港に比較的近い東京南部、神奈川東部などからアクセスしやすい点を訴求している。しかし計画時は、輸送力の増強を大きな目的としていた。

 かつて東海道新幹線の運行限界は、1時間当たり最大15本程度とされていた。ただし、うち4本を回送列車に割り当てる必要があったので、営業列車は最大11本しか運行できなかった。東京駅を発車した回送列車は、田町駅付近で分岐する回送線を経由して、大井ふ頭にある車両基地へ向かう。回送線の分岐点より先の本線上に品川駅を設置して、品川以遠で1時間当たり4本を増発できるようにしようというのが、当初の目論見だった。

品川駅と車両基地の位置関係
車両基地(東京第一車両所・東京第二車両所)への分岐点より南側にある品川に駅を設置することで、1時間当たり4本を増発できる体制にした(資料:ケンプラッツ)

 1990年代に入るとバブル経済が崩壊。97年には航空運賃の設定が一部自由化され、航空路との競争が激化した。かつて心配したほどには乗客数が増えなかったこともあり、2003年の品川駅開業時点では結局、折り返し定期列車は設定されなかった。2007年のダイヤ改正でようやく品川駅発の定期列車が設定されたものの、最混雑時間帯での増発ではなかった。