7月に迫った北海道洞爺湖サミットの主要議題の一つが環境問題だ。建築界でも、温室効果ガスの削減をはじめとする環境への配慮が強く求められている。

 建築に関連する分野の二酸化炭素(CO2)排出量は、ほかの産業分野におけるCO2排出量に比べて低コストで排出量を減らせることが背景にある。2007年にノーベル平和賞を受賞した気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は、CO2排出量を削減する取り組みの費用対効果が最も高い分野として、建築分野の名を挙げている。

 さらに、国内の産業別のCO2排出量の動向をみてみると、住宅と関係が深い家庭部門や建築物と密接にかかわる業務部門におけるCO2の排出量は、いずれも増加傾向にある。これも建物に関連する分野での温室効果ガスの削減を求められている理由の一つだ。

 建物に対する環境配慮の視点が強く求められつつあることを受けて、日経アーキテクチュアでは、建築界の第一線で活躍する18人に「環境デザイン」という視点で感銘を受けた建物を選んでもらった(詳細は日経アーキテクチュア6月23日号の特集2「私の心を揺さぶった環境デザイン」を参照)。

 実務者から得た回答は、「なるほど」と思うものから意外性のある選定まで多様だった。例えば、環境をテーマに据えた05年の愛知万博で総合プロデュ―サーを務めた建築家の菊竹清訓氏は、米国内に建設された「バイオスフィア2」の名を挙げた。「環境問題を語る人であれば、必ず知っておくべきところ」と強調する菊竹氏。閉鎖した生態系空間を実験するこの施設を選んだのは、環境問題は建築だけでは解決できないと考えるからだ。

 殿舎やその周辺の垣などを20年に1度の頻度で建て替える式年遷宮。その儀式を約1300年にわたって続けてきた伊勢神宮を選んだのは、建築家の内藤廣氏だ。内藤氏はその理由を「環境を映し出す鏡だから」と言う。そして、こう続ける。「もしも次の式年遷宮で心御柱(しんのみはしら)が国内で調達できなくなれば、それだけ日本の自然が変化したということだ」。

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