地表面や建物の外観などを3Dレーザースキャナーによって無数の3D座標点で計測した「点群データ」が使いやすくなってきた。草むらに隠れた地表面のモデリング、複数個所で計測した点群の接続、点群からの3D間取り図作成など、生産性向上に役立ちそうな最新のソフトや測量機器が続々登場している。その中から4つ、ピックアップして紹介する。

パソコン上で点群を“草刈り”:点群編集ツール「PET’s」(岩崎)

 堤防や斜面など、地表面の形状を求めるのに、「点群データ」という無数の3次元座標で計測する3Dレーザースキャナーは強力な武器だ。

 しかし、現場に出掛けてみると、地表面には草木が生い茂り、点群データのほとんどは草木の表面の位置を測っていることになってしまうため、肝心の地表面の位置はなかなか分からない。

3Dレーザースキャナーによる計測作業。現場は草木に覆われている(写真:岩崎)

計測された斜面の点群データ。そのほとんどは草木の表面を測ったもの(写真:岩崎)

 このため、これまでは正確な地表面形状を測ろうとすると、計測前に斜面の草刈りを行ったり、じゃまなものを片付けたりといった準備作業が必要だった。

 そこで岩崎(本社:札幌市)は、こうした面倒な作業を不要にする画期的な点群ソフト「PET's」を開発した。点群データ上で"草刈り"を行い、草木に隠れた地表面の形状を抜き出す機能を持っているのだ。

草木を含んだ点群データ(上)から一番下の地表面(下)を抜き出す(資料:岩崎)

 3Dレーザースキャナーから毎秒数万~数十万回発射されるレーザー光のほとんどは草木に当たってしまうが、1~2%のレーザー光は草木をすり抜けて地表面に到達する。

 PET'sは膨大な点群データから地表面に当たったデータだけを取り出し、草木の下にある地表面の形状を抽出する機能を持っている。

 その仕組みは、点群データを10cm程度の幅に切り出し、点群データの最下部に包絡線を描く要領で断面図を作る。この断面図をずらりと並べると地表面の3D形状がわかるという仕組みだ。

 断面図は45度ずつ方向を変えて4方向のものを作り、これらを合成して「TIN」という三角形の面を張ったデータを作る。また、点群データ上にある重機などを消してその下にある地表面を取り出すことも可能だ。

点群を10cm程度の幅に切り出し、断面図を作成する。これを45°ずつ4方向で行う(資料:岩崎)

バックホーを消して地表面を取り出した例(資料:岩崎)

 PET'sを開発したのは、同社企画調査部のプログラマー、奈良久氏だ。土木工事の現場をよく知っているため、なだらかな地表面の中にコンクリート構造物などが潜んでいるといった場合も、シャープな断面を構造物と認識できるようにアルゴリズムを考え出したという。

PET'sを開発した岩崎 規格調査部のプログラマー、奈良久氏(写真:家入龍太)

 ちなみにPET'sは「Point Cloud Edit Tools」(点群データ編集ツール集)の略で、価格は1ライセンス60万円(税別)だ。既に官庁などからも引き合いが来ているという。