中長期的なマネジメント
FMや3Dシミュレーションを河川分野に活用

 中間とりまとめでは戦略的なマネジメントのうち、「中長期のマネジメントの導入」として「河川の管理にも中長期的な維持管理・更新費用のマネジメント手法を導入するため、河川の管理の特質に適した総合的な推計手法の検討を進めるべきである」ことを指摘している。

 つまり、いつ、どの設備が更新時期を迎え、その時にいくらの更新費用が発生するかを事前に計画できるようにする体制を作るということだ。これは河川分野におけるファシリティー・マネジメント(FM)そのものと言えそうだ。

 また、「防災力としての地域住民、民間企業等の役割の拡大」という項では、「実践的なハザードマップの作成を支援することにより、リスクが共有化でき住民の避難や地域の防災等に一層効果的に使えるものにしていくべきである」としている。

 河川のハザードマップとしては、洪水時における浸水域の広がり方、浸水の程度によって避難路がどのように制限されるかといったことを盛り込むことも必要だろう。

 実際の現象を忠実に再現したハザードマップ作成には、河川周辺の地形や、地域内の排水路や下水道、マンホールなどを3次元モデル化し、地表面や下水道を水がどのように流れ、マンホールからの逆流も含めて浸水域をシミュレーションする必要があるだろう。例えば、フォーラムエイトの「xpswmm(エックスピースイム)」というソフトは、こうした解析ができるようになっている。

「xpswmm」による洪水シミュレーションの例(資料:フォーラムエイト)

 国交省では2012年から「CIM(コンストラクション・インフォメーション・モデリング)」の導入に本格的に乗り出した。建築分野の「BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)」のように、構造物の3次元形状と各部部分の仕様などを「属性情報」でまとめてモデル化することにより、様々な図面作成やシミュレーションなどを効率的に行おうというものだ。

 今回、河川の維持管理においてICTの導入に期待がかかっているのは、業務の生産性を向上させることだ。実際の河川の状態を表す様々な情報をデジタル化し、コンピューターに任せられる部分は自動化し、またネットワークを通じて情報共有することにより維持管理業務の効率を高めることを狙ったものと言えるだろう。これは、実際の構造物の形状や挙動をデジタルモデル化し、生産性を向上させるという点で本質的にはCIMと同じ方向を目指しているのではないだろうか。

家入龍太(いえいり・りょうた)
家入龍太(いえいり・りょうた) 1985年、京都大学大学院を修了し日本鋼管(現・JFE)入社。1989年、日経BP社に入社。日経コンストラクション副編集長やケンプラッツ初代編集長などを務め、2006年、ケンプラッツ上にブログサイト「イエイリ建設ITラボ」を開設。2010年、フリーランスの建設ITジャーナリストに。IT活用による建設産業の成長戦略を追求している。
家入龍太の公式ブログ「建設ITワールド」は、http://www.ieiri-lab.jp/ツイッターやfacebookでも発言している。