広域センシング技術による点検
空、陸、水中からの3Dスキャナーが威力を発揮

 中間とりまとめでは、「河道や堤防の効率的な点検・診断技術の開発と実用化」の項で「河道測量、堤防外観点検等に広域センシング技術を活用する技術開発等を促進するとともに、ICTを活用した監視・点検手法の実用化の検討を進めるべきである」としている。

 時間とともに微妙に形が変わっていく河道や堤防の形状を効率的に記録していくためには、3Dレーザースキャナーの活用が有効だろう。

 まず、マクロな視点で河川区域全体の形状を計測するには、3Dレーザースキャナーを飛行機に搭載した航空レーザー測量(LIDER)の出番となる。東日本大震災の後、被災地の堤防の測量にも航空レーザー測量が使われた。

 堤防や河道の重要部分を高精度で形状測定するためには、地上型の3Dレーザースキャナーや、3Dレーザースキャナーをクルマに搭載して走行しながら形状測定を行う「MMS(モバイルマッピングシステム)」を使うと効率的だろう。

MMSによる堤防の変状把握調査の例(資料:国土交通省水管理・国土保全局)

 そして水中の河床の洗くつ状況を把握するためには、超音波を使って計測する水中型の3Dスキャナーがある。

 水中に三脚ごと沈めてセットし、遠隔操作で計測をスタートさせると、超音波を発受信するソナーが360°回転して周囲の地形や構造物の形状を縦45°の範囲で計測。点群データとして記録する。陸上用の3Dレーザースキャナーで測った点群データとも合体できる。

 測定できる距離は、米国ブルービュー社の「BV5000-1350」型の場合、最大30mとのこと。橋梁の橋脚周辺の洗くつなどを高精度に計測する業務で使われている。

水中3Dスキャナー「BV5000-1350型」(左)と、計測した橋脚周辺の洗くつ状況(右)(写真:家入龍太)

 水中の地形の計測については、航空レーザー測深機によって河川水面下の計測手法を開発することにも触れられている。これが実現すると、河床の3D地形までも広範囲に把握できることになり、維持管理業務の効率はいっそう高まりそうだ。

航空レーザー測深機による河床を含めた河川地形のモニタリングイメージ(資料:国土交通省水管理・国土保全局)