JFEエンジニアリングは「スカイパーク」をBIMで施工

 マリーナ・ベイ・サンズの3棟の高層ホテルをまたぐ「スカイパーク」は、ヨンナム社とJFEエンジニアリングの共同企業体が元請けとして受注した。当時、JFEエンジニアリングは紙の図面でスカイパークを設計し、ヨンナムでBIMモデル化して部材を製作したという。

 「ヨンナムでは99%の部材製作にTeklaStructuresを使用している。以前は建設会社などから紙の図面を支給され、それを社内のスタッフがTeklaStructuresでBIMモデル化することが多かった」――。2009年からヨンナム社のエンジニアリング・ディレクターとして、両方の工事にかかわった渡部孝氏はこう語る。「しかし、最近は簡単な図面とBIMモデルデータを支給されることが増えた。図面には寸法すら入っていないことがある。必要な寸法や加工図は、BIMモデルから自社の都合に合わせて作成している」(渡部氏)。

ヨンナム社の渡部孝氏(左)、TeklaStructuresによる詳細設計作業(右)(写真:家入龍太)

「スカイパーク」のBIMモデル(資料:ヨンナム社)

 日本の工場労働者は、「職人」のように2次元図面に描かれた様々な情報を頭の中で3次元化し、ものづくりを行う例が多い。一方、シンガポールでは工場や工事現場で働く作業員はほとんどがインドやタイ、中国、マレーシア、バングラデシュなどから来た単純作業員だという。

 そのため、高度な知識が不可欠な日本式の図面は現場では役に立たないことが多い。そのため、3次元をそのまま扱えるBIMが現場で必要になるというわけだ。特に、最近増えてきた曲面やねじりを加えたデザインの建物の施工は、コスト面でも工期的にもBIMなしでの建設は難しい。

 日本の建設会社が海外市場に進出し、現地でスムーズな部材の製作や施工を行うためには、もはやBIM導入は最低限の条件と言えそうだ。

家入龍太(いえいり・りょうた)
家入龍太(いえいり・りょうた) 1985年、京都大学大学院を修了し日本鋼管(現・JFE)入社。1989年、日経BP社に入社。日経コンストラクション副編集長やケンプラッツ初代編集長などを務め、2006年、ケンプラッツ上にブログサイト「イエイリ建設ITラボ」を開設。2010年、フリーランスの建設ITジャーナリストに。IT活用による建設産業の成長戦略を追求している。
家入龍太の公式ブログ「建設ITワールド」は、http://www.ieiri-lab.jp/ツイッターやfacebookでも発言している。