BIMソフトとの連携で海外展開も

 日本の鉄骨業界では、タイワの「実寸法師」という2次元CAD/CAMシステムが約6割のシェアを持つ。KAPシステムと実寸法師は3年前に、双方向でデータ交換できるようになった。両ソフトのユーザーが別々の場所にいても、インターネットなどを通じてデータ交換できるのだ。

 実寸法師側で作った鉄骨部材の図面をKAPシステムに送ると、2次元図面上の属性情報を利用して3次元モデルを自動的に作成する。そして仕口などの詳細部分を自動設計した後、再び実寸法師に送り返し、図面や工場製作用の加工データとして使うことができるのだ。

 「実寸法師は、フリーソフトや汎用CADなど様々なCADソフトのデータを読み込み、通り芯や柱、梁、断面などを認識して各部材に属性情報を付ける機能を持っている。このためどんなCADで作った鉄骨の図面でも一度、実寸法師に読み込めば、KAPシステムに取り込んで3次元モデル化できる」と片山ストラテック鉄構システム部部長の岡田誠之氏は説明する。

 さらに最近はKAPシステムと設備系BIMソフトのRebro(NYKシステムズ)やCADWe’ll Tfas(ダイテック)との連携も進んできた。

 配管などが梁を貫通する時、スリーブはフランジや補剛材付近を避けて取り付ける必要がある。そこでKAPシステムからはスリーブを配置できない領域を表示した鉄骨モデルを3次元DXF形式のデータで出力し、これをRebroやTfasに読み込んで設備設計を行えるようにした。これにより適切な位置で梁貫通を行える。

 その後、スリーブを取り付ける位置のデータをKAPシステムに戻すことでスリーブを取り付けた状態の鉄骨モデルが出来上がるというわけだ。

スリーブが配置できない領域を赤で示した鉄骨の3次元モデルをDXF形式で書き出し、設備系BIMソフトに読み込んで利用できる(資料:片山ストラテック)

 このほか、KAPシステムは片山ストラテックの親会社である清水建設が開発した構造設計用CAD「ST-CAD」や、ユニオンシステムの構造設計ソフト「SS3」のデータを読み込める。「これらのデータ交換にはCSV形式を利用している。データを読み込む機能は独自で開発した」と片山ストラテック鉄構システム部システム開発課長の播磨裕敏氏は説明する。

 まだBIMモデルのデータ交換フォーマット「IFC」には対応していないが、今後はIFCデータの入出力機能の開発も視野に入れている。

 KAPシステムは建設プロセスの下流側に位置するものづくり最前線の現場で40年間にわたり3次元の強みを発揮してきた。そのソフトが建設プロセスの上流側から普及してきたBIMソフトと連携することで、設計段階で作られたBIMモデルを工場製作や現場架設に生かすという新たな役割が生まれようとしている。

 このほか日本には鉄筋の配筋設計や加工など、専門工事業の業務にあった独自のシステムがある。これらもBIMと連携することで新たな展開や市場が開ける可能性がある。

 片山ストラテックではBIMのワークフローによってKAPシステムが海外で使われる時代が来ることを予感し、いつでも英語版を作れるように準備を始めている。

家入龍太(いえいり・りょうた)
1985年、京都大学大学院を修了し日本鋼管(現・JFE)入社。1989年、日経BP社に入社。日経コンストラクション副編集長やケンプラッツ初代編集長などを務め、2006年、ケンプラッツ上にブログサイト「イエイリ建設ITラボ」を開設。2010年、フリーランスの建設ITジャーナリストに。IT活用による建設産業の成長戦略を追求している。
家入龍太の公式ブログ「建設ITワールド」は、http://www.ieiri-lab.jp/ツイッターやfacebookでも発言している。