地域住民の意見や思いを反映する

 旧余部鉄橋の橋脚は計11本。学識経験者や地元自治体、住民代表、JR西日本などで構成する検討会では、進行していた老朽化や高額な維持管理費などを考慮し、望ましい残し方の検討を重ねた。

 豊岡方面側の橋詰から3本の橋脚は、新橋梁の軌道と重なるため、早くから撤去が確定していた。完全な形では残せないという前提から、地域景観との調和や落下物による危険の有無、後世に伝えるメッセージ性、維持管理のしやすさといった視点で、下の4案に絞り込んだ。

旧橋脚の残し方の検討パターン
(資料:兵庫県の資料をもとに日経コンストラクションが作成)

 さらに道路をまたいでいたり、直下に民家が近接していたりする橋脚をできるだけ除き、最終的には、餘部駅側(鳥取方面側)の端に位置していた3本を残す案がまとまった。駅と一体で利用しやすいことも、最終案のメリットだった。

 県の検討委員会と並行して、地元の香美町も検討会を立ち上げて住民の意見を県に提言。また住民独自のグループも、新橋梁や「空の駅」を地域の魅力づくりにつなげる活動を活発化させた。例えば余部地域の住民が組織した「明日の余部を創る会」では、新たな特産品の開発などに取り組んでいる。

地上から展望施設を見上げる。手前は、橋脚の一部を生かした照明灯。その奥に、低層部だけを残した橋脚が見える。これら地上部では、県が7月後半の完成予定で、「空の駅」に付随する公園施設の整備を進めている(写真:生田将人)
餘部駅側の旧橋脚3本を残して、展望施設を整備。全体を残した橋脚とは別に、連続する形で、一部では低層部だけを残した(写真左下の奥)。そのうち1カ所では、低層部だけの橋脚内側に休憩スポットを設ける計画(写真:生田将人)