前編では東京地下鉄(東京メトロ)銀座線渋谷駅の移設事業全体の流れを説明した。この後編では、現在進行中の工事について詳しく説明する。

 銀座線渋谷駅の移設事業は、営業線の直下や直上での工事であるのに加えて、駅周辺で進む再開発事業や土地区画整理事業との同時施工だ。東京メトロ鉄道本部改良建設部第二工事事務所の上田直人技術課第二担当技術課長は「週に1回の頻度で関連事業者と協議している」と、この工事の特徴を語る。工期が10年以上かかる理由も、ここにある。

渋谷駅側から見た第2工区の2011年7月時点の状況。右の渋谷ヒカリエ(当時建設中)と商業ビルとの谷間での作業だ(写真:東京メトロ)
渋谷ヒカリエから見た第4工区。駅東口の交通広場のほぼ中央に、営業線を挟んで2本のP4橋脚を施工した(写真:ケンプラッツ)

銀座線渋谷駅の移設事業の概要図
(資料:東京メトロ)

ビルの谷間、営業線直上から地下に変電所を構築

東京メトロ鉄道本部改良建設部第二工事事務所の上田直人技術課第二担当技術課長(写真:ケンプラッツ)

 移設事業は、延長350mの施工区間を5工区に分けて施工していく。このうち、最初に着工したのが、明治通りを挟んで現在の渋谷駅とは反対側の第2工区だ。渋谷駅から向かって高架橋、盛り土、トンネル区間へと移る覆蓋部とがある延長157m。東急建設・大成建設JVが施工している。2009年6月に着手した。

 渋谷駅周辺再開発の先導的事業である複合商業施設の「渋谷ヒカリエ」と商業ビルとの挟まれた区間で、両側からの施工はできない。そこで、そこで営業線の直上に幅10mの構台を設けて作業スペースとした。

 工事区間の大半を占める高架橋部分は現在線の軌道を工事桁で仮受けした。営業線の直下に移設する渋谷駅の地下躯体を構築するのに加えて、ホームの移設に伴う縦断線形の変更に対応するためだ。

 「工事桁の施工は、終電から始発の間に限られ、施工計画や作業時間など詳細な工程管理が必要だった」と上田課長は振り返る。

 地下躯体には、移設事業に伴って新たな変電所も建設する。

渋谷ヒカリエ脇の変電所工事の概要図
(資料:東京メトロ)