戦中・戦後の厳しいエネルギー事情を支えてきた亜炭鉱。地下に残る採掘用の通路が、劣化や地震で陥没を引き起こす例が目立っている。

 過去の採掘跡がもたらすリスクを抑えるための大きな一歩を踏み出した地域がある。岐阜県御嵩(みたけ)町だ。町内では1959年から2001年にかけて、少なくとも246件の陥没が確認された。2011年度から14年度の4年間だけでも陥没発生数は19件に及ぶ。

2010年に御嵩町内で発生した陥没事故の様子(写真:御嵩町)

 亜炭鉱の廃坑が地下に網の目のように広がる同町では、現在、危険性の高い箇所などを絞り込んだうえで、亜炭鉱跡に充填材を詰めている。

岐阜県御嵩町の亜炭鉱跡の様子。町内の地下には、こうした空間が広がっているが、正確なルートは分かっていない(写真:日経コンストラクション)

 例えば、町は亜炭鉱跡が地下に存在すると想定される広大な領域から、二つの工区、計約6万270m2の範囲において亜炭鉱跡への充填工事を実施中だ。

 「防災拠点や避難施設が集中する場所、過去に陥没が頻発した事故リスクの高い場所を選定した」と、同町亜炭鉱廃坑対策室の鍵谷和宏室長は説明する。二つの工区だけで、約32億円を投じる。