静岡県は3月31日、富士山世界遺産センター(仮称)の設計業務委託契約を坂茂建築設計と結んだ。2015年3月17日までに基本設計と実施設計を行うもので、契約金額は1億800万円。2015年度の早期に着工し、2016年度中の竣工・開業を目指す。施工業者は2015年度に入札で決める予定だ。

坂茂建築設計の提案。外観パース。設計競技体制は、建築:坂茂建築設計、協力:高木滋生建築設計事務所、構造設備:オーヴ・アラップ・アンド・パートナーズ・ジャパン、ランドスケープ:オンサイト計画設計事務所、照明:ライティングプランナーズ アソシエーツ(資料:坂茂建築設計)

 富士山世界遺産センターは、静岡県が建設を予定している、富士山の保存管理や富士山にまつわる歴史や文化の発信を担う拠点。富士山本宮浅間大社に近接する土地約7300m2(建設可能な敷地は約2900m2)に延べ面積4300m2程度の建物を新築する計画である。

 静岡県はこのセンターの建築工事設計業務を公募型プロポーザルで選定した。募集要項には展示室やシアター、多目的ホール、図書室、職員執務室などを整備することや、近接する富士山本宮浅間大社を見下ろすことのないよう、最高高さを18m未満とすることなどを盛り込んだ。

 応募135者のうち、1次審査を通過したのは坂茂建築設計のほか、マウントフジアーキテクツスタジオ一級建築士事務所、伊東豊雄建築設計事務所、平田晃久建築設計事務所、安部良・松野勉設計共同体、石上純也建築設計事務所の6者。2次審査の結果、坂茂建築設計が最優秀者に、マウントフジアーキテクツスタジオ一級建築士事務所が優秀者に選ばれた。

 審査委員会の委員長は大原美術館の高階秀爾館長、副委員長は建築評論家の馬場璋造氏が務めた。なお、1次審査では提案者名を明かさず、提案書の内容のみで審査を行ったという。2次審査では、公開でプレゼンテーションとヒアリングを行った。静岡県は4月2日にプロポーザルの結果と2次審査の講評を公表した。

富士山の自然循環を体感

 坂茂建築設計の提案は、富士山の湧水を引き込んだ水盤を建物前面に設置して気化冷却効果を得たり、自然採光や自然通風を利用したりすることで、富士山の自然循環を体感できるようにしている。鉄骨のらせん状の格子構造を採用し、その格子に沿って設けたスロープを展示空間とする。この提案に対し、審査委員会は「コンセプトが非常に明快であること、高度な技術に裏打ちされた、世界に向かってインパクトのあるメッセージを伝えることができる提案である点を高く評価した」とした。

坂茂建築設計の提案。長手断面図(資料:坂茂建築設計)

 外観パースなどの詳細は、静岡県のウェブサイトに掲載している「富士山世界遺産センター(仮称)建築工事設計業務公募型プロポーザル第2次審査提案書(株式会社坂茂建築設計)」を参照。