「設計荷重以上の積雪が主因だ」

 これらの事故について、専門家は、「設計荷重以上の積雪が主因だ」と推定する。

 建築基準法施行令86条は、単位重量に垂直積雪量を乗じることで、設計積雪荷重を算出することを定めている。積雪1cmごとの単位重量は20N/m2(多雪地域以外の規定値)で、垂直積雪量は50年に1度の確率(再現期間50年)をもとに特定行政庁が指定する。例えば東京都区部では垂直積雪量が30cmと定められているので、設計荷重は20N/m2に30を乗じた600N/m2となる。

 下の表で示した通り、現場付近の実際の積雪量は、多くが基準を上回るか同程度だった。

2月14日~15日に被害を受けた主な大規模施設。基準積雪量はそれぞれの特定行政庁が定めた垂直積雪量の値で、積雪量は被害を受けた施設周辺の実測値(資料:取材をもとに日経アーキテクチュアが作成。積雪量の出典は※1が気象庁、※2が埼玉県、※3が大和市、※4が八王子市)

 日本建築学会雪荷重・対雪設計小委員会で主査を務める千葉大学大学院建築・都市科学専攻の高橋徹教授は、「設計荷重の値で被害の有無が分かれた」と指摘する。東京都や神奈川県など、垂直積雪量30cmで設計荷重600N/m2の地域では被害が発生したのに対し、甲府市など垂直積雪量50cmで設計荷重1000N/m2の地域では、積雪量が多かったにもかかわらず大規模な建築物の被害がなかったからだ。